児童虐待~連鎖の軛 第3部⑤

「愛着障害」向き合う母、悩み共有 過去と決別

友田教授らの研究では、愛着障害がある子供の脳は、意欲や喜びに対して反応が弱かったが、ケアを受けて回復したケースもあった。だが、実際には愛着障害やトラウマ(心の傷)があるとは気付かず、心のケアや心理療法も受けずに大人になることも多い。

子育ての助言を受けても、自身が抱える根本的な問題から解決しなければ、改善は難しい。むしろ、愛着障害のある人は自己肯定感が低い傾向にあり、心の傷が癒えぬ中、虐待の加害者として扱われることで、自己評価がますます低くなってしまう。

見つかった「地図」

山岡さんが自身の愛着障害に気付くきっかけは、同じく子育てに悩む母親仲間の存在だった。息子が保護される1年ほど前から、母親が集まって子育ての苦労を語り合う場に参加していた。

その場では、誰もが赤裸々に本音を吐き出した。「子供を殺す想像をした」と打ち明ける母親もいた。参加者は追い詰められてそのように感じてしまう母親の苦しみを否定せず、まずは受け止める。苦悩を乗り越えた体験を聞いていくうちに、徐々に自分を客観視できるようになった。

取り仕切る社会福祉士の西田和佳奈さん(46)=同=から差し出された愛着障害の本をきっかけに、関連する本を読み込んだ。なぜこんなにも生きづらいのか。原因が理解できた。

自分自身をケアする大切さも知った。西田さんに息子の保護を報告すると、「まずは心と体を休めてね」と助言された。

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