厳格適用「除斥期間」の壁高く 例外認めたのはわずか

大阪市北区の大阪地裁
大阪市北区の大阪地裁

 旧優生保護法をめぐる国家賠償請求訴訟で3例目となった30日の大阪地裁判決は、仙台、東京と同様、不法行為から20年が経過すれば損害賠償請求権が消滅するという民法の「除斥期間」を厳格に適用し、国の賠償責任を認めなかった。除斥期間の適用を最高裁が認めなかった訴訟は過去2例しかなく、今回も原告側に壁の高さを突きつけた。

 除斥期間の適用から外れた数少ない例に、平成10年の予防接種禍訴訟判決がある。当時義務だった天然痘予防接種を生後5カ月で受け、後遺症で心神喪失となった男性が、接種から20年以上が過ぎた時点で国賠提訴。最高裁は「後見人を選任するまで訴訟能力がなかった。被害者保護が条理にかなう」として男性側逆転勝訴の判決を言い渡した。

 ただ、これまで最高裁が例外を認めたのは、これを含めて2件にすぎない。

 集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎となり、多くの人が国に賠償を求めた訴訟も、除斥期間の起算点が争点となっている。国は賠償請求権を認めなかった慢性肝炎患者にも和解後に給付金を支払っているが、ここでも「20年の壁」は影響しており、発症から20年未満の患者とそうでない患者との間で、給付金に1千万円以上の開きが生じるケースが大半だ。B型肝炎訴訟の大阪弁護団の長野真一郎弁護士は「接種と発症の因果関係を認めながら、20年を理由にした国の主張は理不尽だ」と訴える。

 今年4月に施行された改正民法では、除斥期間を理由に20年で一律に消滅した賠償請求権について、一定の理由があれば時間の経過をリセットする「更新」や「一時停止」が可能となった。

 ただ、改正民法の施行前に20年を過ぎた問題には、さかのぼって適用されない。福岡大法科大学院の石松勉教授(民法)は「強制不妊手術は著しく人格権を侵害した。民法の信義則に基づき、例外的な救済を検討すべきだ」と主張している。(桑村朋)