指定医療機関「不安ある」9割超 大阪府保険医協会が調査

冬の装いで繁華街を行き交う人々=29日午後、大阪市中央区(須谷友郁撮影)
冬の装いで繁華街を行き交う人々=29日午後、大阪市中央区(須谷友郁撮影)

 大阪府保険医協会(高本英司理事長)は、新型コロナウイルスとインフルエンザの検査を行う「診療・検査医療機関」に指定された開業医らの不安を把握するため、会員の診療所など約4千件を対象に20~24日にかけて緊急アンケートを実施。回答があった527件のうち指定医療機関は131件で、9割超の128件が「不安がある」とした。

 131件のうち大阪市内は46件、市外は85件。不安の内容(複数回答)は「院内感染」が99件と最も多く「スタッフ・家族の二次感染」が95件だった。「休業補償」と「風評被害」もそれぞれ80件に上った。

 527件のうち、指定前の協力要請に「手を挙げていない」とした会員は75%の395件。理由(複数回答)は感染防止の「動線を確保できない」が230件と最多で「陽性者の待機場所確保」が190件、「換気などの環境整備ができない」が123件。ビルなどに入る診療所の構造上の問題が大きいとみられる。

 一方、「手を挙げていない」とした395件の会員に、開業地域の自治体で検査センターなどがあれば協力するかと尋ねたところ、135件が条件付きを含めて「協力する」と答えた。

 府市への要望(複数回答)は「感染者の受け入れ体制」が最多の293件。「PCR検査センターの設置」(289件)▽「感染者発生時の休業補償」(270件)▽「保健所の機能強化」(261件)-と続いた。大阪市内の会員に限定すれば「保健所の機能強化」が最も多かった。

     ◇

 アンケートでは、「診療・検査医療機関」に指定された開業医らが不安を抱えている実態が浮かび上がった。開業医も新型コロナウイルス対策を講じているが、協会は感染者の受け入れ先確保や休業補償など行政の支援制度が不十分だとして、診療所が協力しやすい体制の早期整備を訴えている。

 「感染防止のための空気清浄機や換気窓の設置に多額の費用がかかったが、行政から支援金が振り込まれない。あっぷあっぷの状況だ」。府内の指定医療機関の女性院長はこう嘆く。

 指定医療機関のクリニックを府南部で開いている男性院長は「赤字覚悟でやっていても診療報酬は減っている。『医療従事者に感謝を』というなら、それに見合う補償を国が出してほしい」と注文を付けた。

 大阪府は今月24日から、発熱などの症状が出た人にまず近くの診療所やかかりつけ医で受診してもらう運用を始めた。府は新型コロナとインフルが同時流行した場合、1日最大約2万2千件の検査が必要になると想定。そのために約1500の医療機関が必要になると見込んでいるが、19日時点で指定医療機関は1094カ所(189病院、905診療所)にとどまる。

 指定医療機関の件数が伸び悩む理由の一つに診療所の構造上の問題がある。不特定多数が出入りするビルなどに入っている場合、動線の確保など対策の徹底には限界があるとされる。

 指定医療機関として、府のホームページで施設名を公表している松本医院(同府東大阪市)では、発熱患者については、それ以外の症状がある患者と接触しないよう動線を分け、別室で診察。同じく指定医療機関の小畠クリニック(大阪市中央区)では、主に朝~夕方に一般診療を行い、発熱患者については夜間に診療している。小畠昭重院長は「今のところは何とか対応できているが、これ以上増えたら大変なことになるのでは」と不安を口にする。

 また、自身もクリニックを営む協会幹部は「感染者が出て休業したとき、風評被害で再開できなくなるのが一番怖い。協力したくても難しい事情がある」と話す。

 アンケートでは、PCR検査センターや発熱外来センターを国や自治体が整備し、検査能力を拡充すべきだという声が複数寄せられた。「危険なことを医師に押し付けている」との不満も根強い。

 協会の高本英司理事長は「大阪府は検査センターをできるだけつくり、感染が疑われる患者を速やかに送ることができる体制を早く整備してほしい」と指摘。一方で「人口270万人の大阪市で保健所が1つしかなく、機能がまひしている。保健所を中長期的につくっていくべきだ」とも訴えた。