児童虐待~連鎖の軛 第3部③

直面する「自立の壁」 ユーチューブで経験発信

運命の出会い

高校卒業後、約8年間過ごした児童養護施設を出ることになり、初めて「自立の壁」に直面した。アルバイト経験はほぼなく、貯金もない。音楽の専門学校への進学はあきらめ、寮があることから看護職に就いたが1年で辞めた。その後、叔母の家に住みながら、携帯電話販売の営業に転職。だが親族の生活費などを負担し、手元には数千円しか残らない。もがくような日々を過ごした。

26歳のとき、運命を変える出会いが訪れた。友人の紹介で、児童養護施設を出た若者の自立を支える団体を知った。進学や就職、人間関係など、ハンディを抱える若者に寄り添い、動いてくれる大人がいた。活動に参加し境遇を話すうちに、かつて自分が置かれていた状況は「将来への選択肢が少なかった」と冷静に見つめなおすようになった。

だからこそ、このような若者たちをサポートする必要性を感じ、一般社団法人青少年自助自立支援機構(コンパスナビ)に入社した。今では仕事に慣れ、やりがいも感じている。

人ははい上がれる

ブローハンさんのような児童養護施設の出身者を取り巻く現状は厳しい。

国内に605カ所(昨年3月時点)ある児童養護施設では、保護者のいない子供や虐待を受けた子供など約2万5千人が生活しており、このうち約65%は虐待を経験した子供たち。児童福祉法に基づき、原則18歳で自立を求められるが、現実は難しい。家庭という基盤が脆弱(ぜいじゃく)で、頼れる大人がおらず、社会に順応できないケースが多いからだ。

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