ザ・インタビュー

キャラクターの因数分解 お笑い芸人・バービーさん『本音の置き場所』

【ザ・インタビュー】キャラクターの因数分解 お笑い芸人・バービーさん『本音の置き場所』
【ザ・インタビュー】キャラクターの因数分解 お笑い芸人・バービーさん『本音の置き場所』
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 お笑い芸人にラジオ番組のパーソナリティー、情報番組のコメンテーター…。八面六臂の活躍を続けるバービーさんが今度は、初の著書となるエッセー集を発表した。『本音の置き場所』というタイトル通り、生い立ちから、芸人として感じていたコンプレックス、性の問題まで赤裸々な思いがつづられている。

 女性向けライフスタイル誌「FRau(フラウ)」の公式サイトで昨年12月から掲載されている連載を基にして生まれた本書。同年9月にラジオ番組に出演したことが契機になった。

 「この10年ぐらいテレビのバラエティーのお仕事しかしていなかったんですが、『テレビタレントだけじゃない本音を初めて喋りますね』という感じで、まちおこしやジェンダー(社会的性差)などに触れました。それが『今までとは違うね』ということで、そこから180度違うお仕事の話が来るようになりました」

 その一つが、Frauからの連載依頼だった。もともと放送作家を志していて、書く仕事へのあこがれはあった。

 とはいえ、まとまった文章を発表した経験はほとんどない。執筆用の時間を取っても書けないことがあったり、ほかの仕事との兼ね合いに苦しんだりもした。書こうというモードになっている際にお笑い番組に出演することもあり、「(明石家)さんまさんの番組なんかが入ると相当しんどいですね。『全然違うモードじゃん』って」と笑う。

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 連載について「書くことで自分の毒を出して、その毒が消化されたような気持ちになる部分がスタートとしてはあった」と話す通り、自分自身と真正面から向き合っている。

 4人きょうだいの末っ子として生まれ、「家族のペット的存在」として期待されていなかったことや、芸人として限界を感じてコンプレックスを抱いていたこと、自身の体験を通じた性的行為に対する考察…。悩みにどう対処して、現在の自分を作り出していった様子の描写からは自伝的要素も濃く感じられる。

 自身の性格に関する分析も深い。「キャラクターの因数分解」としてプラス面やマイナス面などを書き出し、芸人としての「バービー」、本名の「笹森花菜(かな)」、「甘えん坊の花菜ちゃん」と複数の役を持つことで不安が減ったと紹介。それぞれの役割について、「皆さんに何かしらのハッピーなものを届けられたらいいな」というバービーさん、「本名は根暗な部分やコンプレックスまみれな部分を踏まえてじっと考えているような性格、すべてのガス抜きが『甘えん坊の花菜ちゃん』」と説明する。

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 お笑い芸人としてスタートし、情報番組のコメンテーターやラジオパーソナリティー、下着のプロデュース、故郷のまちおこしまで手がけ、活動分野はどんどん広がっている。

 その視野は海外にも向けられている。7、8年前からインドネシアかマレーシアに拠点を持ちたいと思っていた。その夢に向け、YouTubeの「バービーちゃんねる」で、「インドネシア歌姫計画」と題した企画をスタート。インドネシアでCDデビューするというプランも実現に近づいている。

 本人いわく「形になったことも多いですけれど、失敗したこともめちゃめちゃあります」。だが、それでもポジティブに前に進める理由を尋ねると、「いい感じで雑でバカなのがいいんだと思うんですよね。それが本当に今となっては良かった」と話し、笑いながらこう締めた。「バカで能天気なところがあるので一歩踏み出して、いいとこだけ自分の都合よく覚えている(笑)」

3つのQ

Q最近面白かった本は

『差別化戦略で 小が大に勝てる』。芸人として売れたいときや、人間関係に困ったときなどに応用できる理論を漫画で分かりやすく教えてくれます

Qおいしかった料理は

ロケ先でいただいたマツタケをコースで食べました

Qコロナ禍で行っている健康法は

ファスティング(断食)です。疲れにくいし、基礎力がアップした気がします

(文化部 森本昌彦)

 バービー 昭和59年、北海道生まれ。平成19年にお笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成。「イエス、フォーリンラブ!」の決め台詞で人気を集める。情報番組のコメンテーターやラジオ番組のパーソナリティー、下着のプロデュースなど多方面で活動中。

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