児童虐待~連鎖の軛 第3部②

「偶然」でつかめた幸せ 一時保護で崩れた家庭

母親からの虐待を小学生から高校生まで受けていた森田詩織さん(仮名)。今は「幸せだ」と言い切れる=兵庫県尼崎市(安元雄太撮影)
母親からの虐待を小学生から高校生まで受けていた森田詩織さん(仮名)。今は「幸せだ」と言い切れる=兵庫県尼崎市(安元雄太撮影)
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「放課後少し残っていてね」。体育の着替えの時に体中のあざに気づいたのか。先生に声をかけられたのは、東京で暮らしていた小学5年の時だった。

職員室で待っていたのは知らない女性2人。児童相談所(児相)職員という。そのまま一時保護所に連れていかれ、大人に囲まれ聞かれた。「お母さんがぶったりするのかな」。服を脱がされ、写真も撮られた。「怖い。言うことを聞いて早く帰ろう」。だが、家に帰れたのは半年後だった。

兵庫県尼崎市の会社員、森田詩織さん(24)=仮名=は両親が共働きで、比較的裕福な家庭に育った。父は仕事一筋で、子育ては全て母の役割。母は貧しい家庭からはい上がったことが誇りで、育児でも自分自身に完璧を求めた。

そんな母に余裕がなくなったのは、森田さんが小学生になり、妹が生まれてから。月に数回、疲れて仕事から帰ってきたときに、ささいなことで感情を爆発させ、森田さんの体をテレビのリモコンなどでたたいたり、ものを投げつけたりした。でも普段は本当に優しく、自慢の母。幸せに暮らしていたつもりだった。

半年の別世界

そんな中で突然入った一時保護所は別世界に思えた。4人部屋での暮らし。中学受験を目指していたのに学校や塾に通えず、十分な勉強はできなかった。職員は少なく、忙しそうであまり相手をしてくれず、ルールを破れば「体育館100周」の罰もあった。