暗闇の海「助けてくれ」 茨城・遊漁船転覆事故

貨物船と衝突し転覆した遊漁船「第5不動丸」=28日午前9時49分、茨城県の鹿島港
貨物船と衝突し転覆した遊漁船「第5不動丸」=28日午前9時49分、茨城県の鹿島港

 夜明け前の海から、「助けてくれ」の声が次々に上がった。28日に茨城・鹿島港近くで貨物船「はやと」と衝突した遊漁船「第5不動丸」から12人が投げ出され、うち1人が死亡した事故。暗闇の中でサーチライトの明かりを頼りに、海上保安署の船や地元の漁船による必死の救助作業が行われた。

 事故は午前5時半ごろ発生。釣り船「幸栄丸」船長の男性は、漁場に向かおうと出港した時「救助をお願いします」との呼び掛けを聞いた。発信元は停泊していた貨物船で、SOS信号の光も。「ただごとじゃない」。他の船の仲間に無線で連絡を取った。

 暗闇から何人もの「助けてくれ」の声が聞こえた。人にぶつからないよう、声を頼りにゆっくりと船を進めると、サーチライトの先に、裏返しになった船体が見える。海に投げ出された人たちにひもの付いた浮輪を投げ救助した。

 別の釣り船に乗っていた男性は午前6~7時ごろ、現場近くを通った。まだ暗く、海保の船や他の遊漁船が集まり、捜索していたといい、「絶対に起こってはいけない事故だ」と負傷者らの身を案じていた。