シネマプレビュー

少年の成長物語「アーニャは、きっと来る」ほか3本

■「ヒトラーに盗られたうさぎ」

★★★★

 世界的な絵本作家でナチス・ドイツから英国に亡命したジュディス・カーの実体験を基に描いた自伝的小説が原作。ヒトラー台頭による恐怖政治から逃れるため故郷のベルリンを離れ、スイス、フランス、英国へと亡命生活を強いられることになる9歳のユダヤ人の少女、アンナ。現地の言葉や習慣を身に付けながら、たくましく成長していく姿を描いている。

 辛口演劇批評家の父親からは思想の自由や自己を肯定することを、現実を柔軟に受け入れる母親からは人と寄り添いながらしなやかに生きていくすべを学んでいく。

 27日から東京・シネスイッチ銀座、12月4日から大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。1時間59分。(啓)

■「君の誕生日」

★★★☆

 韓国で2014年に起きた旅客船セウォル号沈没事故では、修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となった。本作は、この事故を初めて正面から取り上げた。息子が亡くなってから初めての誕生日が近づいてくる。母親は主役不在の誕生日は、息子がこの世にいない現実を認めるようで怖くてたまらない。そんな中、息子の誕生日会が開かれることに…。

 イ・チャンドン監督が犠牲者の誕生日会に参加して感じたことを、より多くの人と共感するために映画化を決意。本作を見た遺族たちは「子に先立たれた親心をよく表現している」と語っていたという。

 27日から東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋などで全国順次公開。2時間。(啓)

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