走力も発言力も独走状態、ランナー新谷仁美の有言実行

全日本実業団対抗女子駅伝の3区で日本郵政グループの鍋島莉奈(左奥)を引き離す積水化学の新谷仁美=11月22日、宮城県多賀城市(代表撮影)
全日本実業団対抗女子駅伝の3区で日本郵政グループの鍋島莉奈(左奥)を引き離す積水化学の新谷仁美=11月22日、宮城県多賀城市(代表撮影)

 「選手が力をつけることに目を向けず、東京五輪を開催してほしいというだけではわがまま。どうやって国民に納得してもらうか。選手は結果以上のものを見せないといけない」。刺激的な、だが他の選手だけでなく己にも厳しいこの発言の主は、陸上競技で日本女子中長距離界を牽引する新谷仁美(32)=積水化学=だ。有言実行で今年1月にハーフマラソンの日本新記録を樹立し、9月には5000メートルで日本歴代2位の好タイムをマーク。ひたすらに記録にこだわる走りからは、ランナーとしての高いプロ意識がはっきり見てとれる。 (丸山和郎)

「55秒しか離せなかった」

 11月22日に開催された全日本実業団対抗女子駅伝(宮城県)。3区(10・9キロ)を走った新谷は、第2中継所でトップの日本郵政グループと10秒差の2位でたすきを受けると、すぐに逆転。軽快なピッチを刻んでぐんぐんと差を広げ、55秒差をつけて4区につないだ。各チームのエースが集う3区で従来の区間記録34分30秒を1分10秒も更新する区間新での圧巻の走りだった。

 「タイトルはすべて奪い去って帰りたい」と宣言して臨んだレース。結果的にチームが2位に終わったこともあり、レース後の新谷の自己評価は厳しかった。「55秒しか離せなかったのが情けない。1分半や2分ぐらいでないと、私が求める結果ではない」。周囲の評価とは裏腹に、悔しさをあらわにした。

OLからの電撃復帰

 以前から、そのキャラクターは陸上界の中でも際立っていた。最も印象的だったのが2013年世界選手権(モスクワ)。女子1万メートルに出場した新谷は残り500メートル付近まで果敢に先頭集団を引っ張り続けた。だが、ラストスパートでアフリカ勢に抜かれて5位でフィニッシュ。タイムも順位も日本人選手としては大健闘だったが、「メダルを取れないのであれば、走る意味がない」と言葉を吐き捨て、号泣。足の故障に悩まされていたこともあって、翌14年1月に突然、現役引退を発表し、表舞台から姿を消した。

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