児童虐待~連鎖の軛 第3部①

心の傷 暗闇の日々 幼少期の暴力、母も被害者だった

幼少期の羽馬千恵さん(手前)と祖母。5歳までは母と2人で貧しくも温かな生活を送り、祖父母にもよく遊んでもらった(羽馬さん提供)
幼少期の羽馬千恵さん(手前)と祖母。5歳までは母と2人で貧しくも温かな生活を送り、祖父母にもよく遊んでもらった(羽馬さん提供)
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「10分間やるから漢字を覚えろ」。父はそう言って隣に腰を下ろし、必死で字を書き写す小学生の私の手元を見つめた。「また殴られる」。耳元で感じる父の息遣い。ちょっとした動きにも恐怖が膨らみ、気持ちは乱れた。「さあテストだ」。恐る恐る書いた字は間違っていた。

「お前はばかだ。ばかな子だ」。父が何度も振り下ろした金属製のハンガーは太ももに食い込み、みみずばれが浮かんだ。私はおえつを漏らしながら痛みに耐えるしかなかった-。

厳しい「しつけ」

子供時代を兵庫県で過ごした羽馬(はば)千恵さん(37)=札幌市=の辛い日々が始まったのは5歳の時。母の再婚で、2人きりの貧しくも温かな生活に「父」が加わってからだ。

父は昼から酒を飲んで家にいることが多かったが、「しつけ」は厳しかった。食事のマナーが悪いといっては殴られ、熱い風呂に気を失いそうになるまで入らされた。

パートを掛け持ちして生活費を稼いでいた母も、妹が生まれ、子育てが忙しくなると、きつく当たるようになった。実の娘が殴られても、母は興味を失ったように反応しなくなった。「もうお母さんは守ってくれないの?」。心のなかで最後のとりでが崩れた気がした。大人への不信。毎日がただただ苦しかった。