地盤、看板、カバン無く、演説も無し 無名新人が激戦のつくば市議選で3位当選した驚くべき手法

ごみ拾いの方が役立つ

 人目につく場所でできること、街のために役立つこと。この2つを満たすものはごみ拾いしかない。川久保さんは、たすきをかけて行えば街頭演説の代わりになると確信していた。告示から1週間の選挙運動期間中は、名前入りの候補者たすきを身に着けて、市内の公園などでごみ拾いに励んだ。

 「演説より、町のごみ拾いの方が市民の役に立ちますよね」

 市内462カ所におよぶ掲示板への選挙ポスター貼りにも一計を案じた。SNSを使い、協力者を募集したのだ。公職選挙法の選挙運動のために使用する労務者への上限内の報酬(ポスター1枚につき100円程度)で2人1組の協力者を募ったところ、筑波大生を筆頭に9組が集まった。SNSを積極的に活用していた川久保さんは「『学園都市つくば』だからこそ私のやり方が通じたのかもしれない」と振り返る。

ハードルが下がれば

 川久保さんの任期が始まるのは今月30日からだが、既に「公園の水道が壊れている」など小さな相談が寄せられているという。公園の整備など少し動けば解決できそうなことでも、一市民の声だけでは市はなかなか動かない。「市議という立ち位置を生かし、市民の声を届ける存在であり続けたい」と力を込める。

 また、川久保さんは「今回、私のやり方で3位当選を果たせたことで、4年後の市議選では一市民が立候補するハードルが下がると思う」とも期待する。

 技術の進歩で、国がデジタル化を推進し行政や社会も変わる中、選挙手法や政治活動は旧態依然としたままなのは否めない。今回の市議選が先駆けとなり、政治が市民にとってより身近な存在になる日が待ち遠しい。

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