田代万里生 楽聖の秘められた恋ひもとく ベートーベン描く舞台

 今年は楽聖ベートーベン生誕250年。彼の秘められた恋と芸術をめぐる舞台「Op.110 ベートーヴェン『不滅の恋人』への手紙」が12月11日~26日、東京都千代田区のよみうり大手町ホールで上演される。物語の進行役であり、楽聖の人間的側面をひもといていく弟子、音楽家のフェルディナンドを演じる田代万里生(36)は「彼の情熱のままに、ベートーベンを掘り下げていきたい」と話す。(三宅令)

 ベートーベンの死後、秘密の引き出しから見つかった1通の手紙には、封印されなければならなかった運命と、ある恋人への深い愛が書かれていた。彼の禁断の恋とは…。

 「ベートーベンの音楽はアタックが強い、打鍵のイメージがありましたが、今作で印象がガラリと変わりました」と話す。物語では苦悩する芸術家、人間としてのベートーベンが描かれている。カギとなる「ピアノ・ソナタ第31番Op.110」は優しく伸びやかな曲だ。「こんなに繊細な曲もあったのだと。強い人だから、強い音楽を書いたわけではない。前に進むために勇気を振り絞った結果だったと分かりました」

 母はピアノ講師、父はテノール歌手、10代にオペラデビューを果たし、東京芸大声楽科卒という音楽エリート。在学時、酔っ払った美術学部の学生に「音楽家は(楽譜をなぞるだけの)二次再現芸術家だ」と言われたことが引っかかっている。「そういう考え方なんだ!と思いました。芸術家とは何だ、と考えるきっかけですね」

 ベートーベンは、スポンサーの意向を組んで曲を書くというそれまでの作曲家の在り方から、自らの感性を重視し、芸術家として脱却しようとした人物だといい、同年代の音楽家でありながら彼を深く尊敬したフェルディナンドに心を寄せる。「ベートーベンは先進的で変化する勇気を持った人。音楽家として尊敬する気持ちは分かります」と笑った。

 原案は小熊節子、演出は栗山民也、脚本は木内宏昌。ほか兵庫、富山、愛知県などでも上演。問い合わせはサンライズプロモーション東京、0570・00・3337。

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