from和歌山

「田辺」と「京田辺」の違いとは

ひっそりとしたJR紀伊田辺駅前=和歌山県田辺市
ひっそりとしたJR紀伊田辺駅前=和歌山県田辺市

 「京都の田辺高校です」

 和歌山県田辺市の県立田辺高校に電話しようと思い、「田辺高校」をネット検索して調べた電話番号にかけた。だが、どうも話がかみ合わない。通話しているうちに、京都府京田辺市にある府立田辺高校にかけたことがわかった。市外局番も似ていたから気づかなかったようだ。間違い電話をわびた。

 その後、田辺高校だけでなく、田辺中学校も両市にあることを知った。田辺市は昭和17年に田辺町から市制を施行。京田辺市は平成9年に田辺町から市となり、すでに田辺市が存在していたことから名称に京都の「京」をつけた。

 今年2月から田辺市を担当しているが、約20年前は京田辺市を担当していた。当時は市制施行から数年後の時期で、まち中ではごく普通に「田辺」と呼ばれていたのを覚えている。京田辺市秘書広報課によると、「新しく来た人は京田辺と言うが、古くから住む人は今でも田辺という言い方をする」という。

 両市を比較すると、面積は近畿地方の市町村で最大の田辺市が24倍も大きいが、人口は田辺市約7万2千人、京田辺市約7万人と同規模。だが、人口推移をみると、大きな違いがある。田辺市は平成17年に周辺の龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町と合併して約8万5千人になったが、現在は十数%も減少。これに対して京田辺市の17年の人口は約6万人で十数%増加している。

 京田辺市はJR京都駅に隣接する近鉄京都駅から二十数分、大阪市中心部のJR北新地駅から40~50分と交通アクセスに優れ、ベッドタウンとして発展してきた。一方、田辺市はJR新大阪駅から特急で2時間以上かかり、一次産業以外に大きな産業はなく人口流出が続いている。

 和歌山県南部の人口減少は田辺市に限った問題ではないが、市から企業誘致など人口増加に向けた施策は聞いたことがない。市幹部に疑問をぶつけると、「平地が少なく企業を誘致する土地がない。また大学なども近くになく若者は外に出ていく」と話す。

 人口が減少したとはいえ、田辺市は県内では和歌山市に次ぐ規模の都市だが、玄関口のJR紀伊田辺駅前はひっそりとしている。もう少し元気にならないものだろうか。

(張英壽)