コロナ その時、

(18)五輪なき連休 「第2波」ピーク 2020年7月23日~

【コロナ その時、】(18)五輪なき連休 「第2波」ピーク 2020年7月23日~
【コロナ その時、】(18)五輪なき連休 「第2波」ピーク 2020年7月23日~
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行楽シーズンの7月下旬、観光支援事業「Go To トラベル」が始動すると、新型コロナウイルスの感染拡大も地方へ広がって「第2波」のピークを迎えた。政府や自治体は規制強化に乗り出し、長期戦も覚悟した対策を進めたが、感染の勢いに焦りを強めていた。

東京五輪が開幕していれば日本中が興奮に包まれていたはずの7月の4連休。観光支援事業「Go To トラベル」が始動し、混雑を避けつつ家族で外出を楽しもうとするマイカーが主要道で渋滞を作った。連休初日の23日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は966人で、2日連続で過去最多を更新。瞬く間に1000人の大台を超えたばかりか、31日には1500人を突破した。

「非常に大きな数字だ」。東京都で23日、初の300人超えとなる366人の感染が確認されると、小池百合子知事は表情をこわばらせた。30日の記者会見では、「感染爆発も憂慮される極めて危機的事態」と訴え、酒類を提供する飲食店とカラオケ店に、8月3日から月末まで営業時間を午前5時から午後10時までに短縮するよう、再度の時短要請にも踏み切った。

家庭内や職場、会食での感染が増加し、その勢いは3月下旬から5月中旬にかけての「第1波」を上回っていた。東京が感染の中心地となり、首都圏や大阪、愛知、福岡など大都市へ、さらに地方都市へと広がるという構図だった。岩手県で29日に初の感染者が確認され、ついに全都道府県で感染が確認された。厚生労働省の専門家組織は後にこの時期を感染「第2波」のピークとみなした。

政府も次々と手は打った。西村康稔経済再生担当相は24日、バーやクラブなど接待を伴う飲食店や酒類を提供する店舗を想定し、業界が定めたコロナ感染防止の対策指針を守らずに新規感染者を出した場合、「その店名を公表する」方針を明らかにした。さらに西村氏は翌25日、劇場や飲食店の換気徹底を促すため、建築物衛生法に基づく立ち入り検査を積極的に進めることを検討していると表明した。

米、史上最大のGDP下落

25日に累計感染者数が世界で初めて400万人を超えた米国で、コロナ禍が安全保障上も脅威であることを示す事態が起きた。ホワイトハウスは27日、安全保障政策の司令塔役であるオブライエン大統領補佐官が陽性になったと発表。米ツイッターは同日、「(新型コロナの)治療法はある」と主張するトランプ大統領の投稿のリツイート(転載)を削除した。新型コロナの脅威を軽視するような言動を続けてきた大統領に疑問符を付けた形だ。

米商務省が30日発表した2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比マイナス32・9%(年率換算)で、統計が残る1947年以降で最大の下落率となった。

全国共通の指標4段階

内閣府は30日、平成24年12月から約6年にわたって続いた景気拡大が30年10月に終わり、その後は景気後退局面に入ったと認定した。「戦後最長」の可能性が指摘されていた景気拡大は幻に終わった。日本経済は、実は景気後退期だった令和元年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたことで一層冷え込み、コロナ不況まで背負い込む格好となっていた。

早期の景気回復とコロナ禍収束が見通せない中、長期戦を覚悟した対策が示されたのもこの時期だ。政府の分科会は31日、感染状況について政策に活用するため全国共通の指標を作ることで合意。(1)感染ゼロ散発段階(2)感染漸増段階(3)感染急増段階(4)感染爆発段階-の4つのステージに分類した。また、菅義偉官房長官は28日の記者会見で、新型コロナ流行に伴い精神面の不調を訴える人の実態調査を行う考えを示した。

記録的な冷夏となった7月だが、翌月は状況が一変し、お盆を前にコロナ禍と人の往来をめぐる混乱に拍車がかかる。

(17)2020年7月10日~ 東京除外、GoTo見切り発車

(19)2020年8月1日~ 猛暑にマスク、お盆休みも閑散

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