一筆多論

もう一歩先の医療ITへ 佐藤好美

私ごとだが、うちの次男は幼少期、デパートみたいに病気を取りそろえていた。

気管支が弱く咳(せき)が長引く。皮膚炎がひどく、鼻炎もあり、季節性結膜炎もある。小児科と皮膚科、耳鼻科、眼科をはしごした。

おおもとの原因は同じである。行く先々でアレルギーを抑える「抗ヒスタミン」が処方された。

だが、もちろん「鼻に効く抗ヒスタミン」と「皮膚に効く抗ヒスタミン」と「目に効く抗ヒスタミン」が分かれているわけではない。1剤飲めば済むはずである。

しかし、医師から服用中の薬を聞かれなかったり、うっかりこちらも説明しなかったりすると、二重三重に抗ヒスタミンが出てしまう。危険極まりない。

しかも、診療科が違うと、なぜか医師は好きな薬が違う。小児科と皮膚科と耳鼻科では、同じ抗ヒスタミンでも、異なる銘柄が処方される。同じ銘柄なら気付くのに。

もちろん、あっちこっちで抗ヒスタミンを処方されても、処方箋をかかりつけ薬局に持ち込めば、薬剤師が重複を指摘してくれるはずだ。あるいは薬局が違っても、お薬手帳を持参すれば気付いてもらえる。

だが、みんな、そうしているのだろうか。

ことは子供のアレルギーに限らない。患者が重複で薬を飲んでいたり、飲み合わせの悪い薬を飲んでいたりするケースは実は多いのでは、と疑っている。

取材では、医師からこんな話を聞くからだ。

久しぶりに実家に帰った息子が母親の薬を整理し、複数の医療機関から出された薬をきちんと飲ませたら、母親は救急車で搬送される事態になった。いい加減に飲んでいたときは良かったが、重複していたのだ。

高齢患者のかかりつけになった医師が、薬を整理して減らしたら、患者の認知症が改善した…。

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