新型コロナウイルスの影響で、主要な販売手段である展示場やモデルルームへの集客が難しくなった住宅業界。展示場の運営団体などは、最新のデジタル技術でオンラインにより住宅を内覧できる仕組みを相次いで打ち出し好評だ。バーチャル(仮想)展示をきっかけに実際の展示場への集客が前年比増となるなどの例も出てきており、主要な販売手段として定着しつつある。
(黒川信雄)
室内すべての寸法表示
パソコン画面上に現れた、新築住宅。玄関から室内に入ると、広々としたリビングが広がる。窓枠にマウスをあてると、即座に寸法を表示。天井高など室内すべての設備で寸法表示が可能だ。気になる設備を詳しく見たり、家全体を見下ろしたり、とその場にいるかのような体験ができる。
総合住宅展示場「花博記念公園ハウジングガーデン」(大阪市鶴見区)を運営する大阪住宅センター(同市中央区)は10月、展示場内の26棟すべてをオンライン上で内覧できるサービスを開始した。
空間内の正確な距離を再現できる3Dスキャンカメラで撮影した室内の映像を専用ソフトで処理し、建物内にいるかのような感覚で内見できる。担当者は「従来技術と比較し、より屋内にいる感覚を再現できる。これだけの戸数の住宅をオンラインで内見できるようにする取り組みは、他にはないのでは」と胸を張る。
ドローンも活用
ドローン(小型無人機)を使って展示住宅を紹介する取り組みも。住宅展示場運営のアドバンス開発(同市福島区)は、京都市内の桃山六地蔵住宅博のモデルハウス11棟の内部をドローンで撮影し、その動画を自社のウェブサイト上で閲覧できるようにした。