3次補正20兆円超、コロナ後見据え積み増しへ

 令和2年度第3次補正予算案が20兆円超に膨らむのは、新型コロナウイルスの感染再拡大で「二番底」に落ち込みかねない日本経済を立て直すため大規模な財政支出が不可欠との考えが広がったためだ。コロナ禍で発生した巨額の需要不足を穴埋めできなければ、企業の倒産や失業者の増加で中長期的な経済の回復力が損なわれる恐れがある。

 「少なくとも10兆円レベルの財政支出だと、財政の崖を作ってしまう」

 13日に官邸で開かれた成長戦略会議で、菅義偉首相のブレーンで知られる慶応大の竹中平蔵名誉教授はこう指摘した。3次補正の規模を当初見込んだ10兆円超にとどめれば、計57兆6千億円を計上した1、2次補正の経済効果の剥落に伴い財政支出が急激に縮小し景気が悪化するとの意味だ。

 経済財政諮問会議の民間議員試算によると、1、2次補正は2年度の国内総生産(GDP)を35兆円押し上げたが、3年度は4兆円の効果しか残らない。日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す需給ギャップ(GDPギャップ)は7~9月期の回復を経ても30兆円超残るとされ、巨額の需要不足を追加の経済対策で解消する必要がある。

 このため、与党内からも「30兆円から40兆円ぐらいは必要だ」(自民党の世耕弘成参院幹事長)と大型補正を求める声が出ていた。

 ただ、2年度はコロナ対応で当初予算と1、2次補正を加えた新規国債発行額が過去最大の90兆2千億円に上り、歳出の過半を借金で賄う。3次補正の規模拡大には「需給ギャップを全て公的需要で埋める必要はない」(経済官庁幹部)との抵抗も強く、「30兆円超は難しい」(首相周辺)という。

 一方、感染第3波で自粛要請が強まることで上向きかけた景気は足踏みを余儀なくされ、需要不足が企業の業績回復を直撃すれば手持ち資金が底をつく「資金ショート」の増加も懸念される。国の歳出で埋められない需給ギャップを民間の需要で補うなら、大きな経済波及効果が見込める賢い使い方で、デジタル化や温室効果ガス削減の新技術といった成長分野への投資を効率的に呼び込めるかがカギを握る。(永田岳彦)