公明党は17日、次期衆院選で広島3区に斉藤鉄夫副代表=衆院比例中国=を擁立する方向で最終調整に入った。近く正式に決定する。連立政権を組む自民党との協議は折り合いがついておらず、同党広島県連は公明とは別に候補者選定の公募手続きを進めている。同選挙区で自公が分裂すれば全国の選挙協力にも影響が出かねず、与党内で波乱含みの展開となりそうだ。
広島3区は、昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で公職選挙法違反の罪に問われて公判中の元法相、河井克行被告=衆院議員、自民党離党=の地盤。前回平成29年衆院選は公明が河井氏を推薦し、7回目の当選を果たした。
だが、買収事件の発覚後、公明側には支援者から「なぜ河井氏を推薦したのか」との苦情が相当数寄せられ、公明は自民側が立てる候補では支持者を納得させられないと判断。独自候補の擁立を目指し、自民側と協議を進めていた。
自公間で結論が得られていないにもかかわらず、公明が斉藤氏の擁立に踏み切るのは、来年10月の衆院議員の任期満了まで1年を切るためだ。9回の当選を重ねる斉藤氏も広島3区での知名度は未知数で、早期の衆院解散・総選挙となれば厳しい選挙戦は避けられない。
自民は県連での公募による候補者選定作業を年内に終えるスケジュールを描く。自民に先駆けて擁立を決定することで、自公間の協議を有利に進める狙いもあるとみられる。
ただ、公明側の一方的な動きは、自民側の態度を硬化させかねない。支持母体である創価学会の強力な支援を受ける公明候補であっても、自民の支持を得られなければ当選は危うく、自公間で着地点を見いだす作業は今後も続くとみられる。