デジタル化を加速させるマクドナルドの未来は、「ドライブスルー」にあり

「例えば、『ブライアンがもうすぐ来店する』ことがわかるようになったらどんなことが起きるか、何ができるか考えてみてください」と、ブレイディは言う。「いま目にしているようなメリットが今後も加速していくだろうと、わたしたちは楽観視しています」

アプリを活用した集客は、マクドナルドのみならずすべてのファストフード店にとって重要な施策だ。マクドナルドは宅配について、今後も「Uber Eats」のような外部のサービスに任せる方針という。これに対して注文については全工程を外部に任せるのではなく、自社アプリ内でこなせるようにする予定だ。

「こうしたデジタル技術を活用した動きすべてが、とてつもない量のデータを生み出します」と、NPDグループの食品・飲料担当アナリストのデイビッド・ポータラティンは指摘する。「例えば今日、リアル店舗を訪れたとしましょう。常連客でない限り、店側はわたしの名前も前回注文した商品も、どのくらいの頻度で来店しているのかもわかりません。ところが、デジタルな世界においてはアルゴリズムがすべて把握できるので、より最適なお薦め商品や新メニュー、特定の客のニーズに本当に合った期間限定商品などを知らせることができるのです」

避けては通れない課題

こうしたデジタルなプッシュの活用は、プライバシーや雇用への影響について避けては通れない問題も引き起こす。マクドナルドによる意欲的な取り組みの多くは始まったばかりであることから、プライバシーの扱いについて確かなことはわかっていない。しかし同社は、膨大なデータを取得するモバイル機能については事前に許可を得るオプトインで導入したと説明している。プライバシーについて不安に思うなら、MyMcDonald’sを利用しない選択肢もあるわけだ。

Apprenteの音声認識システムなど業務効率を改善するツールが雇用に及ぼす影響について、マクドナルドのブレイディは、歩道での商品の引き渡しなど人手が必要な場所に人員を「再配置」する機会だと表現している。これに対してNPDのポータラティンは、歩道での受け渡しへの移行によって業界全体の労働力の需要が実際に増加していると指摘している。

「外食産業は、そもそも労働力についての課題を抱えています」と、NPDのポータラティンは言う。「職を求めてドアを叩く人がいるわけではありません。むしろその逆で、店側は労働力の確保に苦労しているのです」

とはいえ、こうした変化は計画に基づいてゆっくりと進められていくことも忘れてはならない。米国た世界市場において、「こうした戦略をさまざまな組み合わせで採用する店舗数は10%2C000を超える可能性があると見ています」と、マクドナルドで米国の最高レストラン責任者(Chief Restaurant Officer)を務めるメイソン・スムートは説明する。マクドナルドの全世界の店舗数は36%2C000だ。

世界が不確実性に満ちたこの時期に、マクドナルドは肉を使わないハンバーガー「McPlant」の発売なども含め、自社のビジネスをさまざまなレベルで再検討を進めている。同社はようやく、19年に実施したテクノロジーへの莫大な投資の利益を手にしようとしているのだ。

そして成功へと向かおうとするすべての道は、ひとつの方向へと走っている--ドライブスルーのレーンを通ってだ。

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