近い将来起こるとされる南海トラフ巨大地震を想定した訓練が、和歌山県海南市内で実施された。市と県、内閣府が防災意識向上を目的に企画。訓練プログラムの一環として、県立海南高校(大野中)では新型コロナウイルス感染対策を踏まえた避難所運営訓練が実施され、参加者は現場の課題を浮き彫りにしたり対策を検討したりした。
「津波防災の日」(11月5日)にちなんだ訓練で、午前9時にマグニチュード9・1の南海トラフ巨大地震が発生した-という想定で15日に実施。市内各地で市民らを対象に、巨大地震の発生時に揺れから一斉に身を守る行動をとる「シェイクアウト訓練」などが行われた。
県立海南高の新型コロナ対策を想定した避難所運営訓練には、市職員ら約100人が参加。体育館内に高さ約1・4メートルの段ボールを仕切りに使い、44区画67人分の避難スペースを作成。避難者を単身や2人、3、4人世帯など規模別に分けたり、国の基準に従った新型コロナ対策のソーシャルディスタンス(社会的距離)として区画間を約1メートルあけたりした。
実際に避難所運営訓練をしてみると、国の基準に従って避難スペースを確保した場合、収容人数が大幅に制限される課題も明らかに。対策として市は、市民に対し、親族や知人方などへの「分散避難」を求めるほか、周辺自治体にも避難者の受け入れを求めていくとした。