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『地の暦 伊勢三宮説と寛文事件の真相究明と考証』南正昭著 歴史は権力者側に創られる

 伊勢神宮の中心は、内宮・外宮ではなかった!?

 『日本書紀』に明確に記されているにもかかわらず、歴史の表舞台から外された「伊雑宮」(いざわのみや、いぞうぐうとも呼ばれる三重県志摩市にある神社)。

 「伊勢三宮説」では、皇室の祖神は、天照大神であり、伊勢神宮の内宮に祀(まつ)られているのですが、『日本書紀』には、「磯宮(通説では伊雑宮のこと)は天照大神が初めて高天原より降りられた所」と記されています。内宮、外宮と伊雑宮は同格としているのです。それがいつからか、歴史の表舞台から押しやられてきました。それはなぜか?

 著者が持つ膨大な資料、年表を時系列に並べ立てることで、真相に迫る一冊です。著者とのやり取りで「原文を尊重」しながら、細かい作業を進めていきました。書籍の多くを年表が占めるので、そのチェックはなかなか根気のいる作業ではありましたが、時系列になっているので、いつ何があったか、俯瞰(ふかん)して「日本の歴史」ともリンクして見られるのもいいところかな、と思います。

 著者は伊雑宮に縁がある人で、「自分の子供たちに書き残したい」という思いから本書を執筆しました。伊雑宮側からの視点で、なぜ表舞台から外されたのかを検証・考証しています。

 帯文の「歴史は常に権力者側から創られる。(中略)しかし実際には、歴史はその裏側の人々に支えられて創られたものであることは、忘れてはならない」に本書の思いが込められています。

(文芸社・1300円+税)

文芸社編集部 宮田敦是