エンタメよもやま話

コロナと中国の猛攻で米国の映画館が消える

 一方、米の映画館がこうした状況なので、勢いを増したのが中国です。10月18日付の米業界誌ハリウッド・リポーター(電子版)が、香港に本社がある映画産業向けのコンサルタント会社「アルチザン・ゲートウェイ」の調査結果を引用して伝えているのですが、中国での映画の総興行収入が同日、19億8800万ドル(約2067億円)を記録。北米の19億3700万ドル(約2014億円)を抜き、初めて世界一になったのです。

 米映画協会などの調べでは、中国の映画の総興行収入は2016年からぐんぐん伸び始め、昨年は米が114億ドル(約1兆1800億円)なのに対し、93億ドル(約9600億円)。そう遠くない将来、米を抜いて世界一になるといわれていました。それがついに現実化したのです。

 最大の原因は言うまでもなくコロナ禍です。米と違い、中国は新型コロナの効果的な封じ込めに成功したので、何万もの映画館が通常の座席数の75%で営業しているうえ、興収4億ドル(約416億円)を超える大ヒット作も登場したことから、米中の差は年末までに大幅に拡大するとみられています。

 劣勢が目立つ米国ですが、それに拍車をかけるように、米国では映画館での上映開始から有料配信といった二次使用を開始するまでの期間が、コロナ禍による映画館の大規模な休館によって大幅に短縮されました。

 米劇場所有者協会との取り決めで、これまでは90日だったのですが、AMCシアターズとユニバーサル映画が協議し、ユニバーサルと傘下のフォーカス・フィーチャーズの作品に関しては、17日に大幅短縮されたのです。これまでかたくなだった映画館側がついに有料配信に屈したとハリウッドに衝撃が走りました(7月28日付ハリウッド・リポーター電子版など)。

 コロナ禍の収束後、ハリウッド内のパワーバランスはもちろん、世界の映画界の勢力地図も大きく塗り替えられそうな気配です。(岡田敏一)

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【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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