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コロナと中国の猛攻で米国の映画館が消える

 しかし、業界最大手のAMCシアターズのこうした窮状が明らかになる前から、ハリウッドには相当な危機感があったようです。実際、AMCシアターズの窮状が明らかになる約20日前の9月30日、米映画協会(MPAA)と米監督組合(DGA)、そして米劇場所有者協会(NATO)が連邦政府に対し、映画業界を救済するための支援を求めたのです。

 同日付のロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)などによると、これらの3団体は、上院のミッチ・マコネル院内総務(共和党)やナンシー・ペロシ下院議長(民主党)らに送った書簡の中で、映画館の運営会社の93%は、今年第2四半期(4~6月)の収益が前年同期比で約75%も減少したなどと現状を説明したうえで、「こうした状況が続くと、中小規模の映画館の約70%が破産を申請するか、完全な閉鎖を余儀なくされる」と主張しました。

 さらに「現在、映画館関連の仕事に従事する約15万人はパートタイマーか時給で働いているため、約3分の2にあたる10万人前後が職を失うことになる」などと警告。「われわれの国は、映画館が提供する社会的、経済的、文化的価値を失うわけにはいかない」としたうえで、コロナ禍による「壊滅的な財政的打撃」からの回復に向け、超党派による政府支援の必要性を訴えました。

 この訴えは決して大げさなものではありません。実際、米調査会社ライトシェッド・パートナーズのメディア・アナリスト、リッチ・グリーンフィールド氏は10月6日付の米NBCニュース(電子版)で、映画館業界はコロナ禍以前から、ネットフリックスやHulu(フールー)、アマゾンプライムといった有料配信勢に押されるなど問題を抱えていたので、コロナ禍を経て業界が生き残れるとは想像しがたいとの認識を示し、「ほとんどの映画館のチェーンは現在の形では生き残れないだろう」と予想しました。

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