封印していたダイナミックなワインドアップから直球でどんどん押した。今季限りで阪神を退団する能見が九回に登板。1回を3人で抑えてセーブを挙げ、タテジマ姿での有終を飾った。
打線が八回に1-0とリードを奪った直後の九回、拍手に迎えられてマウンドに上がったチーム投手陣最年長の41歳。先頭の細川に中前打を許したが、ソトを遊ゴロ併殺打、最後の打者柴田からは外角への直球で空振り三振を奪った。最速149キロの直球で押し、若々しい投球スタイルは全盛期と全く変わらなかった。
最後はグラウンドをゆっくりと一周しながら観客席のファンに深く頭を下げ、「16年、本当にお世話になった球団で、本当に感謝しかない。ドキドキしながらのマウンドを楽しめた」と持ち前のポーカーフェースを崩さずに語った。
自己最多の13勝を挙げた2009年以降、先発投手の柱となり、平成以降の阪神投手陣で最多となる104勝を挙げた功労者。12年には最多奪三振のタイトルも獲得した。
切れ味鋭い投球はさび付いていない。「見ての通り元気なので。まだまだもう少し、納得できるまでやりたい」と胸を張った細身の左腕。感傷に浸ることなく、新たなプレー先を探す。(上阪正人)