しずおか・このひと

「文化」となった大道芸の灯つなぐ 大道芸W杯実行委員長、杉山元さん(67)

 --ボランティアの「市民クラウン」の存在もある

 「市民参加を盛り上げる相乗効果がありました。クラウンは道化師全般を意味し、『ピエロ』とはちょっと違う。2泊3日の講習で歴史や所作などの勉強だけでなく、自分の適切なイメージを見つけ、合うメイクや衣装を探るところまで行うんです。いまや、海外からも『シズオカのおもてなしが忘れられない。また来たい』と言われる大きな要因ですね」

 「累計修了者は500人以上になっています。有志の『静岡市民クラウンの会』が生まれ、病院などで子供やお年寄りを楽しませたり、商業イベントに呼ばれたりする人もいる。東日本大震災の被災地支援もしました。静岡はクラウンを世界一生み出した街といえると思いますよ」

 --自身のモットーは

 「『オール・フォー・ユー、イッツ・マイ・プレジャー』。すべてはあなたのために。それが私の喜び-ということですが、実は『情けは人のためならず』と同じ。大道芸は私の人生にとっても、国や文化を超えた友人の輪を広げ、生まれ育った静岡の街を元気にしてくれた。アーティストと観客の一期一会で刻々と変化する大道芸の『空間』は、同じ演目であっても同じ体験はありません。その臨場感は、インターネット時代にも色あせない。来年には安全に楽しく再開できるよう、万全の準備をしたいと思います」

 ■すぎやま・はじめ

 昭和27年12月7日生まれ。本業は静岡市内の広告代理店。慶応大卒業後、東京の大手での修業を経て30歳で地元に戻り、県広告業協会理事長も歴任。市民クラウン研修修了者でクラウンネームは「のいっぽ」。人だかり越しでも鑑賞できるW杯必須アイテムの潜望鏡「パフォグラス」考案者。趣味はサッカーJ1清水エスパルスのサポーター活動など。静岡市出身。

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