連載【バイデンの米国】(中)「マスクをしてほしい」 威信かけた新型コロナとの戦い(1/2ページ) - 産経ニュース

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バイデンの米国

連載(中)「マスクをしてほしい」 威信かけた新型コロナとの戦い

 米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領(77)は来年1月20日の政権始動を見据えた初仕事に「新型コロナウイルス」を選んだ。

 「流行を封じ込めるためできることはすべてやる。そこから仕事を始める」

 バイデン氏は9日、地元の東部デラウェア州での演説でそう強調した。感染症対策は「科学」を土台に進めると明言するとともに、「切実なお願いだ。マスクを着用してほしい」と国民に呼びかけ、マスク着用の奨励に後ろ向きな共和党のトランプ大統領(74)との違いを際立たせた。

 トランプ氏は選挙集会にマスク非着用の多くの支持者を集め、科学的な根拠に基づく感染症対策に消極的とみられた。政府のコロナ対策チームに加わる感染症学の権威で米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長の解任をちらつかせるなど、持論である経済活動の早期再開に慎重な科学者との確執が伝えられた。

 大統領選の論戦を通じてトランプ氏の対応を批判してきたバイデン氏は9日、新政権に対策を助言する13人の専門家チームを発足させると、さっそくビデオ会議を行った。公衆衛生学に精通した食品医薬品局(FDA)元局長のケスラー・カリフォルニア大教授や、トランプ政権の対策を批判して役職を解任されたと伝えられた専門家らを自らのチームに起用した。

 米ジョンズ・ホプキンズ大によると、全米の累計感染者は9日に1千万人を超えた。新規感染者も1日10万人を超え、米国は世界最悪の流行の渦中にある。

 だが、米国特有の事情がバイデン氏にとって壁になりそうだ。同氏は全米規模でのマスク着用の義務化に意欲的だが、公衆衛生政策で強い権限を握る州知事ら行政トップの協力がなければ実効性は見通せない。

 個人の自由を尊重する機運が強い共和党が地盤とする地域では「マスク着用の強制は受け入れられない」との意見も根強い。共和党が知事を握る南部テキサス、フロリダ両州など感染者の増加地域で、どこまでマスクの義務化措置が浸透するかは不透明だ。