書評

『音楽の肖像』堀内誠一、谷川俊太郎著

 33年前に54歳で亡くなったグラフィックデザイナーの堀内誠一氏が描いた28人の作曲家の肖像画と散文に谷川俊太郎氏が32編の詩をささげた美しい本だ。かつて『マザー・グースのうた』を一緒につくり、かつともに音楽に憧れる2人の呼吸はここでもぴったり。

 堀内氏の愛情にじむ肖像画からは音楽がこぼれ、谷川氏はその音楽に耳を澄ましながら一気に筆を走らせた趣がある。《人を愛することの出来(でき)ぬ者もモーツァルトに涙する/もしもそれが幻ならこの世のすべては夢にすぎない》。登場する作曲家の作品を無性に聴きたくなる、素晴らしい誘いの書。(小学館・2500円+税)