そんな折、新型コロナウイルス禍に見舞われた。同社も影響を受けたが、夏になり売り上げが回復する中で、五十嵐さんは、この時計をめぐる新たなニーズに気づいたという。
「今年は帰省できないから、福井の工芸品を買いたい、プレゼントしたいという声が多かった。コロナ禍で、より故郷への思いが強くなったようだ」
「福井の漆器と眼鏡、地場産業の技術で作った腕時計だからこそ選んでもらえ、うれしい」と喜ぶ五十嵐さん。「この腕時計は漆の塗り、金属や樹脂の加工と工程は多岐にわたっている。1つ販売できればそれだけ鯖江に仕事が生まれることにもなる。それもやりがいに感じている」と話している。