日本IBMなど5社は、盲導犬のように視覚障害者の移動を手助けする人工知能(AI)搭載のスーツケース型ロボットの実証実験を国内の空港で実施した。複数のセンサーが周囲の状況を把握し、AIの機能で人や物を避けながら出発カウンターまで移動した。数年後の実用化を目指している。
「ANAのカウンターまで行って」。自らも視覚障害者で開発総括を務めるIBMの浅川智恵子さんがスマートフォンに話し掛けると、モーターが付いたスーツケースが動きだした。「自動ドアがあります」「複数の人を避けます」などの音声が流れ、自動で止まったり曲がったりした。
スーツケースの大きさは機内に手荷物として持ち込めるサイズ。取っ手部分の振動で前後左右の進行方向を伝えている。周囲のお店や買い物を支援する音声機能もあるという。
浅川さんは「失われた視力の代わりにAIが私を導いてくれる。1人で自由に街に出るのが夢」と話した。
開発には他に、アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、三菱自動車が参加した。