【ワシントン=平田雄介、黒瀬悦成】3日投開票の米大統領選の開票作業では、郵便投票が激増したことにより、勝敗の行方を左右する激戦州の東部ペンシルベニアと中西部ウィスコンシンの両州で当選者の確定が数日間かかる見通しが強まってきた。
CNNテレビによると、3日午後11時(日本時間4日午後1時)現在の開票率はペンシルベニアが41%、ウィスコンシンが42%にとどまった。投票用紙に記入された署名による投票者の本人確認など、集計作業に入るための事前処理を3日から始めたのが原因だ。
事前処理を2日に始めた中西部ミシガン州の開票率も39%。しかも、票数が多いペンシルベニア州フィラデルフィアやミシガン州デトロイトを抱える投票所では、「人手不足」などを理由に3日夜から翌朝9時まで集計を中断したことも作業の停滞に拍車をかけた。
ペンシルベニア州では、3日の消印が押され6日までに到着した郵便投票を受け付ける。投票用紙の申請はあったものの選管当局に返送されていない票は59万あるといい、今後も続々と票が届く可能性がある。
同州の方式については、共和党のトランプ大統領が「不正投票を見逃し暴動を誘発する」と批判しており、法廷闘争に発展する可能性も指摘されている。
同じ激戦州でも、南部フロリダ州では開票作業開始から約2時間後には90%に達し、複数の米メディアが同州で「トランプ氏の勝利確実」と速報した。
フロリダ州の郵便投票は473万票で、ペンシルベニアの250万票、ウィスコンシンの127万票、ミシガンの284万票に比べ多かった。フロリダ州では、事前処理を投開票日の1カ月以上前の9月24日から始めたことが速やかな開票につながった。
一方、南部ノースカロライナ州では、CNNテレビの開票速報(開票率55%)で、民主党候補のバイデン前副大統領の得票率が55・8%に達し、トランプ氏の43・1%を大きく上回った後、開票率86%の時点で両者が49・4%で並んだ。
同州では投票所での投票分に先立ち郵便投票が優先的に集計された。郵便投票の利用者に民主党支持者が多いことはかねて指摘されており、テレビでも司会者が「(共和党支持者が多い)投票所で投票された票の集計が進めば、トランプ氏が追い上げる可能性があります」と解説していた。