大阪都構想で経済効果の試算回避 シンクタンク、政治との摩擦懸念

大阪都構想が否決され、会見で頭を下げる大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長(右)と代表代行の吉村洋文・大阪府知事=1日夜、大阪市北区
大阪都構想が否決され、会見で頭を下げる大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長(右)と代表代行の吉村洋文・大阪府知事=1日夜、大阪市北区

 1日の住民投票で否決された大阪都構想をめぐり、主要な経済シンクタンクが経済効果の試算を発表しなかった。これほど大きな構想では異例といえる。試算の前提となる経済施策が不明瞭だったことや、構想の政治的な色彩が強過ぎ、各社が関わりを避けたのが実態のようだ。

 「仮に都構想が実現して財政的余裕が生まれても、そのお金を何に、どう投資するかが分からない。これでは経済効果を試算しようがない」。10月下旬、関西の主要経済シンクタンクのアナリストは、都構想の経済効果の算定を避けた理由をこう明かした。

 都構想をめぐっては、大阪府市が学校法人「嘉悦学園」(東京)に委託し、制度移行による歳出削減効果が「10年間で最大約1・1兆円」に上るとした試算がある。ただ、この試算自体も実現性について政党間で激しい議論を招いた。

 制度の変更や施策の経済効果は通常、財源の裏打ちだけでなく、その財源を何に、どう投資するかといった詳細な前提が必要となる。しかし、都構想をめぐっては、財源を捻出する試算自体が議論の対象となり、それをどのように使うかといった議論にまで深まらなかったのが実情だ。

 また、都構想が大阪維新の会の最重要政策で、政治色が極めて強かったことも各社が経済効果の試算に躊躇(ちゅうちょ)した要因だった。

 ある専門家は「試算をすれば、どうしても賛成、反対というスタンスがにじんでしまう。1・1兆円の歳出削減効果を試算した数値に立てつくことにもなりかねず、見送った」と説明。別のシンクタンク関係者も「政党との関係に影響を及ぼしかねず、出せなかった」と述べた。

 都構想の経済効果については財界からも厳しい目が向けられていた。

 関西経済連合会の松本正義会長は9月、「市民が誤りなく投票するためのデータは、正確で正直なものでなくてはならない。本当に機能するのか裏付けが必要だ」と指摘し、政策の効果を立証する数値への強い疑念を明かしていた。

(黒川信雄)

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