大阪都構想再び反対 菅首相の政権運営にも影響

【都構想住民投票投開票】 住民投票で反対多数が確実となり会見で悔しそうな表情を見せる、大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長=1日午後11時24分、大阪市北区(寺口純平撮影)
【都構想住民投票投開票】 住民投票で反対多数が確実となり会見で悔しそうな表情を見せる、大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長=1日午後11時24分、大阪市北区(寺口純平撮影)

 大阪都構想をめぐる住民投票が反対多数となったことは、日本維新の会と良好な関係を保つ菅義偉首相の政権運営に影響を及ぼしそうだ。全国に勢力を広げたい維新の戦略にも水を差した。地元で維新と対峙する自民党大阪府連には次期衆院選に向けて追い風となったが、賛成に回った公明党との溝は深まるなど、各党の選挙戦略にも複雑な影響を与えるとみられる。

 首相は1日夜、今回の結果について、周囲に「国政ではない」と語り、政権運営への影響を否定した。

 しかし、地域政党「大阪維新の会」と国政政党の維新双方で代表を務める松井一郎大阪市長は令和5年春の任期満了をもって政界引退すると表明し、松井氏に近い首相には痛手だ。国政で維新が勢いを失えば、憲法改正や重要政策での共闘も効果が限られ、政権運営上のメリットは薄れる。

 ただ、自民府連は結果に安堵している。自民は前回平成29年衆院選で、大阪の全19選挙区のうち10勝したが、うち7選挙区では維新候補に差を1万票以内に詰められた。「可決なら維新の勢いが増す」(幹部)のは必至だったからだ。

 自民の中山泰秀防衛副大臣=衆院大阪4区=は今月1日夜、産経新聞の取材に「多くの大阪市民が訴えに耳を傾けてくれた」と語った上で、松井氏に「潔く市長を辞すべきだ」と迫った。

 一方、公明党には厳しい結果となった。今回賛成に回ったのは、次期衆院選で府内4選挙区に候補を立てるため「大阪で維新と争いたくない」(公明関係者)との本音があったからだ。

 先月18日には山口那津男代表が大阪に入り、松井氏と街頭で賛成を訴えた。当初は「ローカルの話」(幹部)と静観していた山口氏が乗り込んでも結果につながらなかったことで、「党へのダメージは大きい」(中堅)との声も上がる。

 公明幹部は「住民投票と国政は別物」と強弁するが、自民との今後の選挙協力全般に影は落とした。

 今回の結果は、全国展開を目指す維新にも厳しいものとなった。維新は次期衆院選で全国289選挙区のうち、70程度に独自候補の擁立を検討しているが、戦略にも暗雲が広がった。

 立憲民主党と共産党は、一致して反対したことを弾みに、次期衆院選での候補者調整を進める構えだ。共産の小池晃書記局長は「次期衆院選では菅内閣の補完勢力である維新を少数に追い込む」と意気込んだ。

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