がんばる姉 まぶしく見つめる 「家族の作文コンクール」大賞に杉村陽香さん 雲雀丘学園創立70周年事業

【産経新聞社賞】四世代八人家族 岐阜県岐阜市 田中一慶

 我が家は4世代8人家族。最高齢と最年少の年の差は90歳。毎晩、8人で食卓を囲む。

 最高齢の祖母は柔らかいものしか食べられなくなり、最年少の次男は固いものも食べられるようになってきた。祖母はできることが減り始め、次男はできることが増え始めた。真逆の姿へと変わっていく二人だが、そんな二人に共通することがいくつかある。その一つが紙おむつをあてているということ。次男の紙おむつを替える時、ふと思った。「親にしてもらったことを自分の子にしている。隣の部屋で祖母の紙おむつを替えているのは親。きっと、自分も親の紙おむつを替える日が来るのだろう」と。

 父の仕事の関係で、祖母が1カ月間、施設に入ることになった。入所前夜、車椅子に座る祖母を抱きしめ、「ちゃんと家に帰ってきてね」と耳もとでつぶやく父がいた。その姿を私はじっと見つめていた。

 次男が5日間、入院することになった。付き添ったのは妻。残された幼い長男長女は、母親不在で不安な夜を迎えた。案の定、長女が泣き出した。電話をかけた。「ちゃんと家に帰るからね」と優しくささやく妻がいた。その声を聴き、涙をこらえる長男を私はじっと見つめていた。

 一つ屋根の下で喜怒哀楽を共にして、家族の生老病死に付き添う中で気づいたことがある。それは「家庭は、恩の報じ合いをする場」だということ。私たちの絆の原点「生まれてきてくれてありがとう」「産んでくれてありがとう」を今、家族みんなに伝えたい。

【講評】「生命の連続性 家族通し表現」

  家族という形態を通した生命の連続性を表現されたのかな、と思いました。生老病死(しょうろうびょうし)といったような普遍的なテーマを盛り込まれている点を評価しました。

 山田 今の時代には珍しい4世代が暮らす家族の営みが、大げさではない表現で語られていました。単なる大家族の日常でもなく、家族の中の時の流れが伝わってくる作品でした。

 玉岡 4世代8人家族というのは、奥さんが大変。女性読者として、まずそれが先に来ました。書き手のご主人は何をしているのかな、と。

門井 登場人物が8人いますので、とてもすべての人の行動を描くことは無理でしょう。こういう文章は往々にして人物が錯綜(さくそう)しがちですが、よく整理していると思いますよ。

 山田 「次男の紙おむつを替える」ともありますが…。

 玉岡 自分の子供なら、それくらいしてよ、と(笑)。この点、わたしからの物言いとして、書いておいてくださいね。

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