「自由で開かれたインド太平洋」に向け国家戦略策定を 有識者研究会が提言

米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(左)と面会する菅首相=22日午後、首相官邸
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(左)と面会する菅首相=22日午後、首相官邸

 産官学の有識者らでつくる「インド太平洋協力研究会」(座長・田中明彦政策研究大学院大学学長)は29日、日本が推進する外交構想「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)に関する政策提言を鷲尾英一郎外務副大臣に提出した。経済・安全保障面で覇権を拡大する中国をにらみ、FOIPの実現に向けた国家戦略を策定すべきだと訴えた。

 提言は軌道に乗りつつあるFOIPを後押しする内容で、田中氏は「中国の行動を抑制し、インド太平洋地域を平和的に推移させるためにも、FOIPを日本が掲げてリードしていくことが重要だ」と述べた。

 提言はFOIPの取り組み組みの具体化に向け、官邸主導で国家戦略を定め、優先順位やタイムラインを明確にした行動計画や予算措置を打ち出すべきだと主張した。

 また、FOIPの主軸である日米豪印の首脳会合の枠組みを創設し、英国、フランスもメンバーに加えるよう提起。インド太平洋地域の中心に位置する東南アジア諸国連合(ASEAN)が採択した「ASEANアウトルック」との相乗効果を追求する重要性も指摘した。

 中国が中長距離弾道ミサイルや巡航ミサイルを増強していることを指摘した上で、防衛力や日米同盟をさらに強化すると同時に、米中露が参加するインド太平洋地域の軍縮・軍備管理の枠組みの構築も提唱した。

 経済面での連結性を強化するため、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を土台に、米国や欧州なども参加する巨大自由貿易協定(メガFTA)の推進に向けた中長期のシナリオを策定すべきだと主張。さらに、サプライチェーン(供給網)の多様化や、新型コロナウイルスで経済が落ち込んだ途上国に対し財政支援などを打ち出す必要性も指摘した。

 研究会は大学やシンクタンク、経団連や東京商工会議所などのメンバーで構成。外務省や防衛省、経済産業省、財務省もオブザーバー参加している。

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