勇者の物語

セ、パの思惑 また1リーグ制に…虫がよすぎる 虎番疾風録番外編97

「もう1リーグ制しかない」と訴えた近鉄・佐伯オーナー
「もう1リーグ制しかない」と訴えた近鉄・佐伯オーナー

■勇者の物語(96)

パ・リーグ存続のためにロッテの中村長芳オーナーは、西鉄とペプシの間を仲介しただけでなく、東映にもパイオニアを紹介した。

だが、昭和47年当時の経済界は、前年からの「繊維問題」や「ドル・ショック」、さらに「円の切り上げ」と各企業も経営の合理化を目指さなければいけなかった。そんな状況下で、下降線をたどるパ・リーグへ加入しようとする企業はほとんどなかった。

10月20日午後8時半、中村オーナーが東京・赤坂の事務所に記者たちを呼んだ。報道陣は首をひねった。実はこの日の午後、同オーナーは「22日に香港でペプシコ(ペプシコーラ・ジャパンの親会社)に会う。ライオンズ買収の承諾を得られるようだ」と語っていたのだ。

「実は午後6時にペプシコから『ライオンズの申し出を断る』と電報が入った。前言を撤回する。申し訳ない」と中村は頭を下げた。

翌21日にはパイオニアも「魅力あるが球団経営は片手間ではできない」とプロ野球参入を断念。これを受けて同日、近鉄の佐伯勇オーナーが大阪・上本町の近鉄本社で緊急記者会見を開いた。

--2球団ともに買収を断られたが

「新しい肩代わり先を見つけるのは難しいだろう」

--みな、佐伯社長の手腕に期待しているが

「もう無理だ。遅すぎる。1、2年前ならともかく、今となっては…」

--となると、4球団でリーグを

「それは不可能だ。1リーグ制しかないだろう」

--1リーグ案はセ・リーグの各球団が反対しているが

「事ここに至っては、一段高い見地から事態収拾策を検討すべきだ」

セ・リーグも22日、午前11時から東京・大手町のパレスホテルで、鈴木竜二会長、巨人・正力亨、中日・小山武夫、広島・松田耕平各オーナーが会合を開いた。彼らは1リーグ制に「反対」だった。

彼らにしてみれば、昭和24年11月に自分たちの「反対」を押し切ってリーグを分裂しておきながら、今になって経営が苦しいから「また一つに…」は虫がよすぎる。チャンチャラおかしい、ざまぁみろ-というわけ。あくまで「2リーグ制を維持する」と突っぱねたのである。(敬称略)

■勇者の物語(98)

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