大阪都構想で菅首相「沈黙」 維新と蜜月、自民府連は反対

国家戦略特別区域諮問会議で発言する菅義偉首相=22日午後、首相官邸(春名中撮影)
国家戦略特別区域諮問会議で発言する菅義偉首相=22日午後、首相官邸(春名中撮影)

 大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する大阪都構想の住民投票(11月1日投開票)をめぐり、菅義偉(すが・よしひで)首相が沈黙を続けている。首相は日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)らと近く、維新の政策に共鳴してきた。都構想を側面支援するような動きも見せているが、自民党大阪府連は都構想に反発しており、微妙なバランスを取っている。

 首相は8日、首相官邸で自民党府連会長の大塚高司衆院議員らと面会し、府連が反対の立場でまとめた報告書を受け取った。首相は「頑張ってください」と大塚氏らを激励したが、自身の賛否には触れなかった。

 首相と維新の親密な関係は周知の事実だ。維新の生みの親である橋下徹元大阪市長とは平成20年の府知事選から親交があり、橋下、松井両氏とは現在も定期的に会合を重ねる。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)や、2025年大阪・関西万博の誘致など維新肝いりの政策も支援してきた。維新幹部は「首相は維新に自民党の本来あるべき姿を重ねているのだろう」と語る。

 ただ、自民党府連は住民サービスが低下するとして都構想に反対の立場をとる。都構想の実現で二重行政を解消すると主張する維新との勝負は拮抗(きっこう)しているが、府連幹部は「少なくともボロ負けにはならない」と気を吐く。

 自民党総裁でもある首相は、府連が反対する都構想に表立って賛成することはできないが、9月の党総裁選期間中には「大阪はすごく問題がある」と語った。

 水面下では、間接的に維新支援のように見える動きもある。今月18日、公明党の山口那津男代表が大阪入りした。公明党は27年の住民投票で反対したが、今回は松井氏らと街頭演説に臨み、賛成への投票を訴えた。公明党は大阪の衆院4選挙区に現職を抱え、次期衆院選で維新との衝突を避けたいのが本音だ。

 首相は公明党の支持母体・創価学会と太いパイプを持つ。学会の選挙実務を事実上、差配する佐藤浩副会長と頻繁に連絡を取り合う関係だ。佐藤氏と松井氏も「本音で話し合える間柄」(維新幹部)だが、2人をつないだのが首相だった。

 自公両党は国政選挙で協力関係にあるとはいえ、公明党は都構想に関しては維新を選んだ。これに気を強くした維新幹部はこう強調する。

 「さようなら、自民党大阪府連ということや」

(千田恒弥)