宿泊者が前年超えのホテルも 鉄道各社が近場の旅で攻勢

山、湖、温泉…自然アピール

 京阪HDも近距離の旅行需要発掘に力を入れる。特に注力するのが、同社が主力ホテルや鉄道、ドライブウエーなどを保有する滋賀県の琵琶湖や比叡山周辺地域の旅行だ。大阪、京都など大都市圏に近く、山や湖などの豊かな自然を楽しめる。

 「コロナが落ち着けば、自然が多い同地域は必ず旅行需要が高まる」(樋本武史事業推進担当)との考えから、コロナ感染が拡大して以降も「過去に撮りためた写真を使いSNSで情報を配信し続けた」(同)。同地域の主力ホテルは9月の4連休では稼働率が平均90%程度になったという。利用者の多くは自動車で来る関西など周辺地域からの客だった。

 阪急阪神HD傘下の阪急交通社も、宝塚(兵庫県)や奈良、有馬温泉(兵庫県)など、関西圏内の宿泊プランが人気だ。緊急事態宣言が解除され、「Go To」により旅行にお得感が生まれると、「旅行が好きな人が回数を増やす傾向がある」(広報)と分析。「新聞への広告出稿などを拡大し、多くの旅行プランを掲載して、それぞれのメリットを比較しやすくする」(同)などの工夫で利用が伸びているという。

リピーター獲得がカギ

 今年の4~6月期決算で、JRや私鉄各社は大幅な赤字を計上した。業績悪化の大きな要因となったのが、コロナによるレジャー事業の落ち込みだ。各社が強化する近隣地域への旅行商品は、移動手段が鉄道ではなく、自動車のケースも多いため収益性が高いとはいえず、「これで業績が黒字化するわけではない」(私鉄関係者)。

 それでも各社が取り組みを加速させる背景には、「まずは感染リスクによる心理的負担が小さい近隣地域の旅行を楽しんでもらい、業績回復への端緒をつかみたい」(同)との思惑がある。

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