【主張】「鬼滅の刃」ヒット コロナ下でソフトの力を - 産経ニュース

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「鬼滅の刃」ヒット コロナ下でソフトの力を

 漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」を原作としたアニメーション映画が劇場公開され、海外からも注目される記録的なヒットとなった。

 新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にあった映画界のみならず、関連商品販売などを含めた活況は、社会を元気づけるものだ。世界に知られた質の高い日本のソフト文化の力を改めて認識したい。

 劇場公開されている「『鬼滅の刃』無限列車編」は16日の公開から3日間で観客動員数が342万人にのぼり、約46億円の興行収入をあげた。公開直後の土日の興行収入は「アナと雪の女王2」などこれまでの人気作品を超えて過去最高となった。米紙など海外メディアもコロナ下での記録的な観客動員を伝えている。

 家族を鬼に殺された少年が、仲間とともに戦う物語だ。人気の秘密は、何より多彩な登場人物の魅力にある。鬼退治は、桃太郎など昔から日本に伝わる話だが、大正時代のロマン漂う設定など、幅広い世代が興味を引く工夫も凝らされている。

 家族愛、兄妹の絆、弱いものを助ける責任、勇気、やさしさなど世代を超えた価値も随所に盛り込まれ、コロナ禍など不安を抱えた現代で人々の心を捉えているのだろう。

 集英社の週刊少年ジャンプに連載された吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの原作漫画は、単行本の累計発行部数が電子版を含め1億部を超える。

 さらにテレビ版アニメや今回の劇場版を制作した会社「ufotable(ユーフォーテーブル)」は、質の高い作品づくりに定評がある。

 劇場版公開前にはフジテレビでテレビ版アニメが改めて放送され高視聴率をあげるなど、メディアの連携も好調につながっている。コロナ感染防止対策に気を配り、観客の不安解消にあたった劇場関係者の努力も見逃せない。

 近く「Go To キャンペーン」に映画を含むイベント分野が加わる。加藤勝信官房長官も今回のヒットを歓迎し、「感染拡大防止を前提としつつ、エンターテインメント産業の需要喚起に努めたい」と述べている。

 「鬼滅の刃」は、コロナ下にあって、人々が良質な作品、コンテンツを渇望していることを裏づけた。アニメーターら、つくり手を支える十分な手立ても工夫し、後に続く作品を育てていきたい。