足利学校復元30年、参観者600万人に迫る 地道に調査、維持に課題も

復元30年を迎える史跡足利学校内の庫裏(手前)などの建造物=足利市昌平町
復元30年を迎える史跡足利学校内の庫裏(手前)などの建造物=足利市昌平町

 史跡足利学校(栃木県足利市昌平町)に江戸時代の建造物などが復元されてから12月で30年を迎える。復元以降の参観者は間もなく600万人に達する見通しだ。復元を機に、未解明なことが多く残されている足利学校の調査研究が続けられてきた一方、茅葺(かやぶ)き屋根などの維持管理といった課題もクローズアップされている。

 復元事業は足利学校敷地内にあった旧市立東小の移転を契機に浮上。昭和57年度から63年度まで詳細な発掘調査が行われ、平成2年12月、総工費15億円で方丈(ほうじょう)、庫裏などの建造物、南北の庭園などが整備された。江戸時代の平面図などをもとに、当時と同様の材料を集め、文化財修理を手掛ける京都の宮大工によって忠実に復元された。国史跡の復元は当時、画期的とされた。

 翌3年、NHK大河ドラマで足利尊氏を扱った「太平記」が放映されたのを追い風に、参観者は年間69万5千人に上った。隣接する鑁阿寺(ばんなじ、同市家富町)とともに市を代表する観光スポットになり、27年には日本遺産にも認定。復元以降、今年3月末までの参観者は計587万人で年間平均20万人が訪れているが、今年は新型コロナウイルスの影響で昨年より7割以上減っているという。

 また、専任の研究員が調査研究に当たり、歴代庠主(しょうしゅ、校長)の日記類をまとめた「足利学校日誌記録」を作成、研究紀要「学校」も18号を数える。研究者を招いてのアカデミーも平成9年以降開催され、延べ135講座、約1万人が参加してきた。

 研究員の市橋一郎さん(74)は「足利学校はまだまだ未解明で、やるべきことは多い」と話す。敷地の西半分が未調査なほか、再三の火災による文書類の消失で、軍師養成機関として最も栄えたとされる戦国時代の実態も分かっていない。市橋さんは「専門の研究機関と連携し、今後も学術的調査研究が重要」と指摘する。

 施設面の大きな課題は、方丈などの茅葺き屋根の改修だ。復元から30年経過し、全面葺き替えは必至だが、葺き替えには10トントラック20台分の材料が必要で、費用は1億円はかかると見込まれる。茅葺き屋根に設置した防火設備の更新、板葺き屋根の補修なども進めなければならない。

 足利学校事務所は来年度末までに、改修のため設立した基金(残高1億円)の活用を含めた再整備計画を策定する予定だ。(川岸等)

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