石破氏、浮かぶ瀬見えず 派閥会長退任「潔さ」前面 勢力維持難しく

自身が率いる派閥の会合を終えた自民党・石破茂元幹事長=22日午後、国会内(春名中撮影)
自身が率いる派閥の会合を終えた自民党・石破茂元幹事長=22日午後、国会内(春名中撮影)

 自民党の石破茂元幹事長が石破派(水月会、19人)の会長を退いたのは、9月の総裁選惨敗にけじめをつけるのと同時に、「潔さ」を党内外にアピールして再起を期す狙いも透ける。ただ、看板を失った少数派閥の勢力維持は容易ではなく、石破氏と派閥の捲土重来(けんどちょうらい)は前途多難だ。

 「臨時国会が始まる前に(辞任を)表明すべきだと考えた。菅義偉(すが・よしひで)政権が日本や次の時代のために良い仕事ができるように私も力を尽くしたい」。石破氏は派閥の臨時総会で辞任を表明後、記者団に新政権を支える意向を示した。

 9月の総裁選大敗は派閥に衝撃をもたらした。特に、国会議員票が出馬に必要な推薦人(20人)をわずかに上回る26票にとどまったショックは大きかった。

 石破氏は9月下旬以降、派閥メンバーから個別に意見を聞いて敗因を分析したが、次の総裁選に向けての妙手は見いだせなかった。今月中旬には複数の派幹部らが石破氏に総裁選敗退の総括を要求。石破氏の側近が会長退任の選択肢も示したが、この時、石破氏は回答を保留したという。

 石破氏は臨時総会当日の22日早朝まで悩み抜いた末に辞任を決断した。派幹部は「(石破氏の)賞味期限は切れていない。『身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』だ」と述べ、身を引くことで再チャレンジの芽を残すべきだと指摘。派中堅も「トップが責任を取らない風潮の中で潔い決断だ」と語る。

 とはいえ、石破氏と派閥に明るい展望があるわけではない。党幹部は首相が石破氏と距離を置く安倍晋三前首相との関係を優先し、「要職に起用することは絶対にない」と断言する。また、派所属の八木哲也衆院議員(比例東海)が次期衆院選の不出馬を検討しており、勢力の後退が懸念されている。

 さらに、石破派が石破氏を首相に押し上げるために設立された派閥であることから、会長辞任によって籍を置く意味を見いだせなくなるメンバーが出てくる可能性がある。石破氏が高い知名度を生かして開拓してきた地方の支持票も減らしかねない。

 果たして会長辞任の決断は吉と出るのか、凶と出るのか。辞任表明の日、「首相になることを諦めたのか」と問われた石破氏は周囲にこう漏らした。

 「先のことなんて分からないさ。いろいろじっくりと考える。総理って、『ため』になるものじゃないからね」(奥原慎平)

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