旧ソ連地域での紛争頻発
旧ソ連地域では「領土保全」や「民族自決(自決権)」をめぐる紛争が頻発している。今も、南コーカサス(カフカス)では、アルメニア(AM)とアゼルバイジャン(AZ)が、歴史的にはAM民族が多数だが政治的にはAZ国内に存在する地域をめぐって戦闘状態に陥っている。
AMは長年自決権の原則からこの地域の独立、AMとの統合を主張してきた。これに対しAZは領土保全の原則を主張して衝突となっている。そしてキリスト教国AMは露に支援を求め、AZは民族、言語、イスラム教の面で共通するトルコの支援を得てきた。ただ欧米から孤立している露はAZとの対立は避けたい。また北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながら現在米国や欧州連合(EU)との関係が軋(きし)んでいるトルコも地政学的に取り込みたい。そこで仲介役に出たが、露の仲介による停戦合意はすぐ破られた。