三島由紀夫没後50年記念 ベジャール振付バレエ「M」 財産演目継承の熱気

三島由紀夫没後50年記念 ベジャール振付バレエ「M」 財産演目継承の熱気
三島由紀夫没後50年記念 ベジャール振付バレエ「M」 財産演目継承の熱気
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今年は作家、三島由紀夫(1925~70年)の没後50年。その節目の年に、2つの才能の邂逅によって生まれたバレエ作品「M」が、10年ぶりに上演される。三島作品に刺激を受け1993年、東京バレエ団のため舞踊作品にしたのは20世紀を代表する振付家の一人、モーリス・ベジャール(1927~2007年)。この財産演目を、同団が一致団結して継承しようとしている。(飯塚友子)

日本文化に造詣が深く、高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者でもあったフランスの振付家、ベジャール。舞台には、三島を思わせる学習院初等科の制服を着た少年が現れ、観客は彼とともに、絵巻物のような三島の作品世界を旅していく。

三島ファンなら、「潮騒」の寄せては返す波のような群舞に始まり、「鹿鳴館」のワルツや「金閣寺」など、各作品がベジャールにどう解釈され、舞踊作品として表現されたか、確かめるだけでも一見の価値がある。さらに歌舞伎の戸板返しの手法を使うなど、「ザ・カブキ」(1986年)や「舞楽」(89年)を振り付けたベジャールならではの和の演出も見ものだ。

また舞踊ファンなら、ベジャールらしい、男性ダンサーの躍動的な動きを最大限生かした群舞にしびれるはずだ。特に今回、東京バレエ団が誇る主演級男性ダンサーが勢ぞろいし、三島の分身4人(イチ=柄本弾、ニ=宮川新大、サン=秋元康臣、シ=池本祥真)を演じるぜいたくさ。普段は共演することのない顔ぶれが、初役でこの作品に挑むのも、作品の継承という目的あってのことだ。

8月末の残暑厳しい中、東京バレエ団の稽古場の中心にいたのは、初演時から三島の分身シ(死)を演じ、10年前の公演でも踊った小林十市だ。小林はモーリス・ベジャール・バレエ団出身で、現在もフランス在住。コロナ禍にあっても、今作の指導のため帰国し、2週間の自宅待機期間を経て、指導にやってきた。稽古場での口調は穏やかだが、子役にも細かく指導し、若手ダンサーには「こう動いてみて」と自ら踊って見せる。するとニュアンスを感じ取ったダンサーの動きが、変化していく。

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