ロシア、対ウクライナ制裁緩和に動く

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアが、敵対する隣国ウクライナに科してきた制裁の緩和に動き出した。25日に統一地方選を控えるウクライナでは、親欧米派のゼレンスキー大統領の支持率低迷が顕著となっている。ロシアはこれを機に融和姿勢を示すことでウクライナ国内の反露感情を緩和し、親露派政権の将来的な再樹立に向けた布石を打つ狙いだ。ゼレンスキー氏は欧米側との関係強化で対抗する構えだ。

 プーチン露大統領は14日の政府会合で、ミシュスチン首相から対ウクライナ制裁の一部解除を提案され、「これはロシアから(ウクライナへの)友好を示すジェスチャーであり、第一歩だ。ぜひ検討を進めてほしい」と賛意を示した。

 露経済紙ベドモスチによると、これに先立ち、ミシュスチン氏はプーチン氏の指示によりウクライナの親露派有力野党「野党プラットフォーム」のメドベドチュク党首と会談。制裁緩和を依頼されていたという。

 制裁緩和の内容は、自動車製造や農業畜産関係のウクライナの大企業3社について、ロシアへの禁輸措置を解除するというものだ。

 喜劇俳優出身のゼレンスキー氏は昨年5月、ウクライナ東部で続く親露派武装勢力との紛争の終結や汚職撲滅、経済再建などを公約に掲げて大統領に就任。しかしこれまでに目立った成果は出せていない。

 同国の世論調査では、就任当初に80%あったゼレンスキー氏の支持率は今年7月に44%まで低下。同氏の与党「国民のしもべ」の支持率も昨年9月の65%から今年8月には30%まで低下した。一方、同じ期間に、10%以下だった野党プラットフォームの支持率は18%まで上昇。政党別支持率でも2位につけている。

 ウクライナでは過去、親露派と親欧米派による政権交代が続いてきた。ロシアとウクライナが決定的に対立した要因も、親露派政権が親欧米派勢力のデモで倒された2014年の政変と、それに続くロシアによるクリミア半島併合・東部紛争への軍事介入だった。

 ロシアはゼレンスキー政権の弱体化を奇貨とし、ウクライナ国内の親露派勢力の復権を下支えする戦略を描いているとみられる。

 ベドモスチは15日、「ウクライナの統一地方選を前に同国野党党首とミシュスチン氏が会談したことと制裁解除(の動き)は偶然ではない」とする露専門家の見方を伝えた。

 一方、ゼレンスキー氏は欧米側との関係を強化し、ロシアを牽制(けんせい)する構えだ。

 ゼレンスキー氏は10月7、8日、ロンドンを訪問し、ジョンソン英首相と会談。両国は「ロシアの脅威に対抗する重要性を確認した」とし、戦略的パートナー関係を全面的に発展させることで合意した。その一環として、英国が、ウクライナによる新基地建設や軍艦建造費用のための12億5千万ポンド(約1700億円)の借款を供与することも決まった。

 さらにウクライナ海軍は9月下旬と10月上旬、米国や英国の駆逐艦と共同演習をそれぞれ実施。北大西洋条約機構(NATO)との協調をアピールしている。

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