花田紀凱の週刊誌ウオッチング

〈793〉日本学術会議と中国千人計画の関係は?

日本学術会議の事務局が入る建物と看板=東京都港区(鴨川一也撮影)
日本学術会議の事務局が入る建物と看板=東京都港区(鴨川一也撮影)

このタイミングでこの内容、さすが『週刊新潮』(10月22日菊見月増大号)だ。

「『学術会議』会員もいる! 日本の科学技術を盗む『中国千人計画』」

菅義偉総理による学者6人の任命拒否でにわかに注目された「日本学術会議」。朝日をはじめとする新聞などは「学問の自由」ばかり声高に叫んでいるが、この問題の本質はそんなところにはない。

何が問題か。

ひとつは日本学術会議が日本共産党に牛耳られていること。もうひとつは、日本学術会議が2015年に「中国科学技術協会」と覚書を結んでいること。それが中国の「千人計画」につながることに『新潮』はズバリ斬り込んでいる。

「千人計画」とは中国が高給、好条件で世界中の学者を集め、軍民融合で米中覇権競争を制し、中華民族復興を目指す国家戦略。

欧米諸国は警戒心をあらわにし、アメリカでは上院の安全保障を担当する委員会が特別調査を開始。今年1月には、ノーベル化学賞にも名前が挙がるナノテクノロジーのトップ、ハーバード大学化学・化学生物学部長、チャールズ・リーバー教授が逮捕された。

〈「中国政府から150万ドル(約1億6000万円)の研究資金と、毎月5万ドル(約540万円)の給与を得ていながら、米当局への報告義務を怠り虚偽の説明をしていた」(国際ジャーナリストの山田敏弘氏)〉

なのに日本はあまりにも警戒心が薄い。

〈今年7月頃から〉の取材で『新潮』は「千人計画」に参加している原子炉工学の権威、吉川榮和京都大学名誉教授ら11人に話を聞いている。そのあまりの無警戒ぶりは同誌を。

『ニューズウィーク日本版』(10・20)の大特集「科学後退国ニッポン」の併読をおすすめする。

『週刊文春』(10月22日号)のトップは「二階幹事長親密企業がカジノ隣接地3千坪を買っていた」

こちらも行き届いた取材の好リポートだ。

(月刊『Hanada』編集長)

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