エンタメよもやま話

米中貿易戦争でまさに劇薬となる中国の「切り札」

新型コロナウイルスに感染していたトランプ米大統領は10日、米ホワイトハウスで開かれたイベントで演説するためマスクを外した(ロイター=共同)
新型コロナウイルスに感染していたトランプ米大統領は10日、米ホワイトハウスで開かれたイベントで演説するためマスクを外した(ロイター=共同)

さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、2018年の3月から続く米中貿易戦争(US-China trade war)に関するお話です。

ドナルド・トランプ米大統領が10月2日、交流サイト(SNS)のツイッターで、自身とメラニア夫人が新型コロナウイルスに感染したと明らかにし、世界に衝撃が走りました。米大統領選の投開票を11月3日に控え、米の中枢がコロナ禍で混乱しており、1日も早い新型コロナのワクチンや治療薬の開発・実用化が待たれます。その結果、米では医薬品全般の重要性にも改めて脚光が当たっているのですが、そんな医薬品の分野で米より圧倒的有利な立場に立っているのが実は中国なのです。というわけで、今回の本コラムでは、今回の米中貿易戦争の意外な一面についてご説明いたします。

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今回の米中貿易戦争に端を発する問題では、トランプ政権による中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の締め出しといったハイテク産業絡みの派手めのニュースに注目が当たりがちですが、こちらの問題の方がはるかに恐ろしい気がしました。昨年の12月20日付と今年の9月10日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP、電子版)が報じているのですが、中国側が、米中貿易戦争での米政府からの数々の報復措置に対抗するため、米への医薬品の輸出削減の是非について議論しているというのです。

一般にはあまり知られていませんが、米は中国からの輸入医薬品に大きく依存しています。抗生物質から市販の鎮痛剤、そして、かゆみや腫れを止めるものまで、その多くが中国からの輸入品です。無党派の独立準司法的機関、米国際貿易委員会(ITC)のデータによると、昨年、米に輸入された抗生物質の約40%、クロラムフェニコールの90%、テトラサイクリンの93%、ペニシリンの52%は中国から輸入されたものでした。

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