静岡県知事が陳謝、学術会議めぐる発言撤回 学歴差別は否定

静岡県の川勝平太知事
静岡県の川勝平太知事

 静岡県の川勝平太知事は16日、日本学術会議推薦の新会員候補6人の任命見送りに関して「菅義偉首相の教養レベルが露見した」などとした自らの発言を撤回し、陳謝した。県議会最大会派の自民改革会議からの抗議を受けた形だが、学歴差別を指摘された発言については、そうした意図はなかったと釈明した。

 川勝知事は「不適切な発言に類するもので、しかも事実誤認に基づくものだった。総理や総理にアドバイスする人に対して大変失礼なことを言った」と延べ、問題のある発言だったことを認めた。

 この日、川勝知事と面談した同会派の中沢公彦代表らは一連の発言を「個人への侮辱、誹謗(ひぼう)中傷、学歴への差別とも取れる発言であり、多くの県民からの抗議や疑問の声が届けられている」と批判し、撤回を求める抗議文を提出した。

 抗議を受けた川勝知事は、自身の発言後に菅首相が6人の任命見送りを起案していなかったことが判明したとして、一連の発言は「事実認識が不正確で、間違いだから撤回する」と事実誤認を認めて撤回する考えを示した。

 一方で、「学問をされたという人じゃない。単位を取るために大学は出られたのでは」などの発言については学問の重要性を強調するもので、学歴差別の意図はなかったと釈明。「学歴差別をしているかのように取られたのは本当に残念」と述べた。

 しかし、これらの発言がなされた7日以降、県には14日までに川勝知事への批判や否定的な意見が電話や電子メールなどで1千件以上寄せられた。「県民として恥ずかしい」という県内からの意見だけでなく、菅首相の出身地である秋田県など幅広く非難や叱責があった。発言撤回の一報が流れた16日も電話やメールは途切れなかったという。中沢氏は「県職員らが対応に追われて本来の業務が滞るようなことがあったと聞く」と苦言を呈し、知事に発言の重さを再認識するよう求めた。

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