SLで川根路にGO! 半年ぶりに運転再開、大井川鉄道

運行を再開し、力走する大井川鉄道のSL列車「かわね路号」=8日、島田市内
運行を再開し、力走する大井川鉄道のSL列車「かわね路号」=8日、島田市内

 秋の行楽シーズンを目前に控え、大井川鉄道(静岡県島田市)は8日、蒸気機関車(SL)の運行を半年ぶりに再開し、雄大な姿で川根路を力走した。新型コロナウイルスの影響や車両の不具合が重なり、4月6日から運休していたが、このたび修理が終了した。再開初日はあいにくの雨模様だったが、SL列車「かわね路」号は駅員らに見送られながら、汽笛を合図に新金谷駅(同市)を出発した。

 SL列車はC11形190号機が客車5両を牽引(けんいん)。家族連れや遠足の小学生らでほぼ満席となり、久しぶりに活気が戻った。家族旅行で乗車したという愛知県田原市の会社員、八木貫志さん(51)は「コロナ禍でどこにも行けなかったが、久しぶりに家族そろっての旅行。楽しみ」と声を弾ませた。政府の観光支援事業「Go To トラベル」を利用したという。

 C11形190号機は昭和15年製造。東北や九州地方で活躍し、お召し列車も牽引した。一時は廃車になったが、平成13年に大井川鉄道が譲り受けた。

 同社は8日、台風14号の接近に伴い、10日の「かわね路」号の運行などを取りやめるとした。

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 昭和を駆け抜け、令和でも現役で活躍する大井川鉄道のSL。裏方として「復活運転」だけでなく、安全運行を支えるSLの医者ともいえる新金谷車両区副区長で整備士の松本幸一さん(47)に、整備の難しさなどを聞いた。

 --大井川鉄道はSL4両を保有する。年代モノで不具合も多いが、メンテナンスで困る点は

 「部品がない。図面があっても、これまで各地の車両区で寒冷地仕様にするなど改造されてきたので、部品の調達に最も苦労する。公園や小学校などに展示されているSLの部品と交換したり、加工できない部品は図面を書いて地元の工場で加工してもらったりしている。ただ、単品発注なので採算が取れず断られることもある」

 --予想以上に手間がかかる

 「子供以上に手間がかかる。帰宅しても仕事のことを考えるし、仕事の夢も見る」

 --運転を再開したC11形190号機の状態は

 「電気配線やブレーキ系の配管を新しくした。さらに5年後、10年後を見越して車両故障のリスクを減らすため、現状では大丈夫な部分も新しいものに切り替えるなどした」

 --治療してようやく運転再開にこぎつけた

 「日常に戻った。実は(再開前の)5日に試運転したが、汽笛の音や煙の具合も良く、すごくいい状態だ。今後、10年ぐらいはこの状態を保ちたい」