モーリシャス「にぎわい戻って」 在住邦人切なる願い

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モーリシャス「にぎわい戻って」 在住邦人切なる願い
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 「事故により海が汚染されたイメージが広がり、観光客が戻らないことが心配」。アフリカ南部の島国、モーリシャス沖で7月に起きた日本の貨物船「わかしお」の座礁事故。海に流出した油はほぼ回収されたが、油が付着したマングローブ林などで長期的な影響についてモーリシャス政府による調査が続いている。長年現地の観光業に従事してきた日本人女性が産経新聞の電話取材に応じ、風評被害への懸念を語った。(石川有紀)

 モーリシャスは東京都ほどの大きさの火山島。欧州の観光客に「インド洋の貴婦人」と呼ばれる高級リゾートとして知られる。しかし、3月から新型コロナウイルスの防疫のため国境を封鎖。10月からは一部の国との往来を再開したが、観光に携わる多くの住民が経済的打撃を受けている。こうした中、7月25日(日本時間26日)に貨物船が座礁。8月6日に船体の亀裂から重油約千トンが流出した。

 現地のホテルグループ社員で、19年前に移住した村野アナンディー百合さん(46)=東京都出身=は、SNS(会員制交流サイト)で拡散された画像で島南東部の堤防に、黒い油が流れ着いていることを知った。現場は湿地の保全を定めるラムサール条約で指定された「ブルーベイ海洋公園」付近。翌日から地元住民や企業が集まり、油を吸着するというサトウキビや髪の毛でオイルフェンスを作り、設置していた。

 「船主が日本企業と知り、日本人の自分にも責任があるような、やり場のない憤りと悲しさでいっぱいになった」

 自分も髪を切ってオイルフェンス作りに提供し、ボランティア活動にも参加した。フランス系やインド系など多くの移民が暮らすモーリシャスで、日本人だからと責められることはなく、むしろ「髪まで切らなくても」といたわってくれた人もいた。「海を守ろうという気持ちは皆同じだった」と振り返る。

 8月半ばには油除去のボランティアが終了。現在は船の保険によって派遣された清掃会社が島に点在するマングローブ林や岩、砂などに付着した油を洗い流して回収している。

 「日本の専門家も国際支援チームの一員として力を尽くしている。日本人も、観光に訪れ、復興の力になってくれたら」。島に暮らす日本人の一人としての切実な願いだ。

日本政府は専門家ら派遣

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