9カ月ぶりの国立劇場 尾上菊五郎「身震いするような喜び」

 9カ月ぶりに国立劇場で歌舞伎が見られる-。国立劇場(東京都千代田区)で、尾上菊五郎(78)や中村梅玉(74)らが出演する「10月歌舞伎公演」が27日まで上演されている。久しぶりに舞台に立った菊五郎は「身震いするような喜びを感じている」と話す。

 国立劇場は歌舞伎公演の再開にあたり、2演目ずつの2部制方式を採用。菊五郎は第2部「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)-魚屋宗五郎-」で、当たり役の宗五郎を演じた。江戸の実直な町人である宗五郎は、妹を殺された悔しさから禁酒を破り、家族が止めるのも聞かず、怒りを爆発させる。

 2月の歌舞伎座以来の舞台。「役者になってから、こんなに長い休みは初めて」だったといい、「こんなお芝居したいな、再開したらこうしようとか、そんなことばかり考えていた」と話す。同作で共演を重ねてきた中村時蔵(65)や市川左団次(79)らが出演したこともあり、「ベストメンバーを組めた。(宗五郎は)周りが止めてくれなきゃ酔っぱらえない」と、悲しき酒乱を見事に表現。孫の丑之助(6)も、大きな声で一生懸命に酒屋丁稚与吉を演じた。

 第1部の幕開きである時代物の名作「ひらかな盛衰記 -源太勘当-」では、梅玉が美男の梶原源太景季(かげすえ)を演じた。先陣争いで勝ちを譲ったことを責められ切腹しようとするが、中村魁春(72)が演じる母の恩情で勘当となる。「大切にしている好きなお役のひとつ」だといい、色男の風情と武将の風格を見せた。細やかな母子の情愛も美しい。

 ほかに第1部では、松本幸四郎(47)による世相を反映した新作舞踊劇「幸希芝居遊(さちねがうしばいごっこ)」。第2部では尾上松緑(45)らによる舞踊劇「太刀盗人」。

 問い合わせは国立劇場チケットセンター、0570・07・9900、03・3230・3000(一部IP電話など)。