国内初確認「オヤビッチャ」繁殖 海遊館で成功

国内初確認「オヤビッチャ」繁殖 海遊館で成功
国内初確認「オヤビッチャ」繁殖 海遊館で成功
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 これまで国内での成功例が確認されていない海水魚「オヤビッチャ」の繁殖に、海遊館(大阪市港区)が成功した。水温や塩分濃度、稚魚のエサなどの模索を重ねた6回目の挑戦。4センチほどの大きさに成長した稚魚は、館5階で開いている企画展「ぎゅぎゅっとキュート」で一般公開されている。

 オヤビッチャは、日本を含むサンゴ礁や沿岸地域の岩礁など温かく浅い海でよく見かけるスズメダイの仲間。体長は約20センチ。体に5本の黒いしま模様があり、背中は黄色がかっている。繁殖期になると、メスが産んだ卵にオスがヒレで水流を送り続け、孵(ふ)化(か)まで世話をする習性がある。

 同館が繁殖に取り組んだのは昨年8月から。展示水槽の壁面に産みつけられた卵を採取し、バックヤードで孵化に挑戦した。オスに成り代わってスポイトやポンプで新鮮な水を送り込んだが孵化後の育成に失敗。3回目からは、ぎりぎりまでオスに世話をさせてから採卵する方法に切り替え、ようやく育成にこぎ着けた。ところが、育ち始めた稚魚が20日ほどで死ぬなどなかなかうまくいかず、7月19日に孵化した稚魚でようやく順調な成長がみられるようになった。

 担当した飼育展示部魚類環境展示チームの樋口凌一さん(23)は「何回も失敗して心が折れそうになったが、卵にあたる水流が一方向に固定されたままだと孵化率が低下することや稚魚の育成に海水の比重が関係していることなどが判明。他の魚種にもあてはまるかなど、これからも繁殖研究に取り組んでいきたい」と意欲を見せている。

 まもなく孵化から3カ月になる稚魚だが、6カ月以上育った場合、審査の上で、日本動物園水族館協会の繁殖賞が授与される。